研究分担者 |
江崎 秀 近畿大学, 九州工学部・電気工学科, 助教授 (70185114)
飯山 悟 近畿大学, 九州工学部・工業化学科, 教授 (80176057)
吉川 由紀子 九州大学, 大学院・システム情報科学研究科, 助手 (00304759)
池崎 秀和 アンリツ株式会社, 主任研究員
八尋 美希 近畿大学九州短期大学, 講師 (90259664)
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研究概要 |
味覚には苦味と甘味の抑制効果,うま味の相乗効果等の味覚相互作用という顕著な効果が知られている.特に苦味の抑制効果の客観的・定量的計測は医薬品業界では大きな研究課題となっている.また渋味や辛味は一般に痛覚を刺激する味といわれ,日常私たちの感じる味に重要な寄与をしているものの,これらの味の受容機構についても不明な点が多い. 本研究では,脂質膜及びタンパク質混入脂質膜を利用した味覚センサによる,味覚相互作用及び渋味や辛味を含む広義の味の総合的評価システムの構築を目指した. 生体リン脂質,及び生物がもつ脂質の官能基(カルボキシル基,リン酸基,アミノ基など)を有する脂質を準備して脂質/高分子膜を作成し,これら受容膜をマルチチャネル化した電極を用いて苦味物質に対する応答を調べた.味覚センサの出力(膜電位と膜インピーダンス値)と苦味物質に対する官能検査結果とを多変量解析法で対応づけた結果、センサ出力が官能検査結果を非常に良く再現することが分かったので,τ尺度法を適用し,味覚センサ出力を用いて苦味強度を定量化した.次に,苦味物質溶液に甘味物質を添加した溶液を測定し,上で得られた苦味強度の定量化方法に従って,甘味物質添加による苦味強度の変化を定量化した.甘味物質添加溶液の官能検査結果と比較した結果,味覚センサ出力によって定量化された苦味強度が甘味による苦味の抑制効果を非常に良く再現することが分かった. また,SPR計測により,味覚センサの膜電位計測では測定が困難な辛味物質の測定が可能であることが分かった.以上のように,味覚相互作用を含む総合的味覚情報処理・認識・計測システムの開発・構築に向けて大きく前進することができた.
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