研究分担者 |
二瓶 泰雄 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 助手 (60262268)
日向 博文 東京工業大学, 工学部, 助手 (70272680)
八木 宏 東京工業大学, 工学部, 助教授 (80201820)
杠葉 弘昭 アレック電子(株), 技術開発部, 部長(研究職)
小倉 久子 千葉県水質保全研究所, 主任研究員
杠葉 弘明 アレック電子株式会社, 技術開発部, 部長兼副社長(研究職)
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研究概要 |
沿岸海域は陸域と接しているがゆえに不可避的にさまざまな物質が陸域から流入するうえ,特に閉鎖性水域では,豊富な栄養塩の流入に起因する活発な内部生産によって多量のプランクトンが生成されることから,多種多様な物質が混在した場になっているが,既存の光学センサーでは各成分物質の濃度を精度よく分離した形で抽出することは原理的に不可能である。本研究では,このような従来の接触型光学センサーの本質的な限界を打破すべく,新たに「成分分離型マルチ分光水質計」の開発することを目的とし,以下の内容について検討を行った。 1)上記センサーは,衛星リモセン水色画像解析を対象として研究代表者らが最近開発した,光学理論に基づく解析フレームをベースとしている。しかし,衛星リモセンの場合ほぼ1次元的な光伝達経路を仮定できるのに対し,上記センサーの場合には3次元的な経路を考える必要があるため,衛星リモセンの際に用いた4流束モデルを今の場合には使えない。そこで,新たにモンテカルロ法をベースとした光学的シミュレータを作成することにより,センサーの諸元決定のための支援ツールを開発した。 2)このシミュレータの妥当性を検証するための室内実験を行い,基本的な分光減衰散乱特性を妥当な形でシミュレートできることが示された。 3)このモンテカルロ法をベースとした光学的シミュレータを用いて,複数物質の成分分離型逆推定ルーチンを開発した。 4)これらの理論的な検討と並行して,マルチビーム光学センサーとして必要となる,光学系やメモリ系・電源系の基本的なスペックについて検討を進めるとともに,現地長期連続計測のためのセンサーの耐久性,およびセンサーの小型化,といった実用上重要となるさまざまな項目に関する検討を行った。 5)以上の検討結果に基づいて,「成分分離型マルチ分光水質計」の試作機を開発し,その基本性能の検証を行った。
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