配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
2000年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1999年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1998年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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研究概要 |
暴風時の波浪は,静穏状態から暴風が強くなるに従って発達し始め,暴風が最盛期のときに最大の波高となった後は,暴風の衰退とともに波高が小さくなってゆく.暴風は一般に移動性の低気圧によって起こされるために,風の向きが時間とともに変化し,それに伴って波向も大きく変化する.現状における不規則波の造波装置では,定常状態の不規則波は,一方向不規則波であっても多方向型不規則波であっても造波できるようになっているが,暴風時の波浪のように時間的に諸元が変化する波浪を実験室内に再現する手法についてはまだ十分な検討がなされていないし,また,そのような造波装置の開発がなされていない.そこで,本研究課題では,暴風時の波浪を実験室内に再現する手法について検討を行ったものである. 暴風時の波浪を実験室内に再現するに当っては,現地の波浪の特性を十分に把握しておく必要がある.そこで,太平洋側の波浪観測点として御前崎,日本海側として輪島を選定して,これらの地点における暴風時の波浪の経時変化特性を調べた.暴風時の波浪としては,2m以上になる波を考え,それの継続時間や増大や減衰の勾配,波向の変化を調べた.また,御前崎においては年間における多峯型方向スペクトル波の出現特性も調べた.多峯型方向スペクトル波浪の発生頻度やその原因,さらにはそのような特性を有する波浪の出現頻度の再現法について調べた.また、田辺湾の高潮観測塔における過去5年間の波浪データを解析した. 湾内の暴風時の波高に湾外からの波浪がどのように影響するかその特性について,大阪湾を対象にして検討を行った.大阪湾の湾奥では,湾内発生波が小さい場合には外洋波の影響は大きいが,湾内波が発達してくると外洋波は無視できるようになることを示した. 上述のような現地波浪の特性を下にして,水路内に暴風時の波浪のように時間的に諸元が変化する一方向不規則波を水路内に再現する手法を開発した.開発したモデルを用いて,暴風時の一方向不規則波を造波した.目標としたように時間的に波浪を変化させることができることを確認した.次に,多方向不規則に関して暴風時の波浪を再現する手法を提案した.しかしながら,この方法は,現状の造波システムには適用できないために,造波システムの変更が必要であることが判明したために,現状では開発したシステムの妥当性を実験で検証するところまで到っていない.今後の課題でもある.
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