配分額 *注記 |
12,500千円 (直接経費: 12,500千円)
2000年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1999年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1998年度: 7,600千円 (直接経費: 7,600千円)
|
研究概要 |
火力発電プラントの高温厚肉部材には高Cr耐熱鋼が多く使用されており,クリープ変形がおきる条件で使われている。本研究は,高Cr耐熱鋼の代表例であるマルテンサイト組織のフェライト系耐熱鋼を対象とし,クリープ条件での非破壊的余寿命評価法の確立と実用化を目的として研究し,以下の結果を得た。 1.高Cr耐熱鋼のクリープ強度に影響しうる因子には,転位(マルテンサイトラス)組織,ラス境界や粒界に析出するM23C6やLaves相などの析出物,ラス内部に析出する微細なMX炭窒化物,および固溶元素(W,Moなど)の4つがある。これらのうちで転位組織は,材料中で最も密に存在する障害物で,高Cr耐熱鋼の強さを決めている。そして,転位組織の回復とクリープの進行や破壊が密接に関連している。従って,転位組織の回復を寿命消費の指標とすべきである。 2.クリープ変形によって,マルテンサイトラス組織の回復(ラス幅の増大)が起きる。マルテンサイトラス幅の変化率Δλ/Δλ^*とひずみの間には直線関係があり,この関係は試験温度や応力によらない。ここで,Δλはある時点でのラス幅と初期値の差,Δλ^*はラス幅の飽和値と初期値の差である。 3.これまでに得られているクリープ曲線データをθ法を使ってデータベース化すれば,クリープ曲線を容易に推定できるようになる。この結果とラス幅とひずみの関係の検量線を組み合わせれば,任意条件での余寿命が評価できる。この準非破壊的余寿命評価の手法を提案した。 4.低温焼戻しのタービン用TAT650鋼では,上記のラス幅測定に基づく寿命評価が有効である。これに対して高温で焼戻したボイラ用HCM12A鋼では,粒界キャビティによる脆性破壊をし,キャビティの発生・成長に基づく寿命評価が有効である。
|