研究分担者 |
長柄 毅一 富山県工業技術センター, 主任研究員
中村 滝雄 高岡短期大学, 産業造形学科, 教授 (60198215)
横田 勝 高岡短期大学, 産業造形学科, 教授 (10029225)
前 健彦 富山工業高等専門学校, 環境材料工学科, 教授 (10042821)
佐治 重興 富山大学, 工学部・物質生命システム工学科, 教授 (60029072)
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配分額 *注記 |
10,700千円 (直接経費: 10,700千円)
2001年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2000年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1999年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
1998年度: 5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
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研究概要 |
本研究ではTiNおよびZrN膜の諸特性に及ぼす窒素および酸素濃度の影響を,反射光スペクトルを利用した色彩分析を多用して調べた.TiN薄膜の色彩および電気比抵抗と製膜条件,膜構造との関係を調べた結果,比抵抗や光の反射スペクトルに影響を与えるのは,膜の配向ではなく,膜の微細構造とそれに伴う含有酸素量に依存することを,SPMによる観察とSIMS等による分析で明らかにした.TiN膜およびZrN膜の色彩を色度座標x, yおよび視感反射率Yによって定量的に比較評価し,次の結論を得た.(1)ZrN膜の色はTiN膜の色に比べて窒素分圧に対して敏感である.(2)一方,TiN膜はZrN膜に比べて,全圧に敏感である.TiN膜では明るい黄金色を得るのに最適な窒素分圧だけでなく,0.15Pという低い圧力(低Ar流量)のときにのみ見られる.それに対して,ZrN膜の明るい黄金色は0.3Paという比較的高い圧力(高Ar流量)下でのスパッタ製膜でも得られる.(3)TiN, ZrN何れの膜も膜中の酸素濃度が増大すると視感反射率が著しく低下する.その結果,膜の色彩は黄金色から茶褐色や黒色に変化する. ZrN膜の機械的性質と微細構造に及ぼすSi添加の影響を調べ,次の結果を得た.(1)Si添加量が約3%で硬度は35GPaの最高値を示し,ZrN二元系膜に比べて約50%の向上が見られた.(2)最も硬い3%Siを含む膜の結晶粒サイズは20-25nmと大きい.また,この膜では色度値,視感反射率がSiを含まない膜の値とほとんど同じことから,Siを少量含むZr-Si-N膜は高い硬度と優れた装飾性を兼ね備える装飾用保護膜としての可能性を有する. 最後に,Ar, N_2,O_2の三種類のガスを用いた反応スパッタ法によるZr-O-N膜の色彩に及ぼすO_2分圧(流量)の影響を調べた結果,三元系の透明膜は干渉膜として利用できることを明らかにした.
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