研究概要 |
本年度の研究では,高速遠心成形法によって作製したアルミナ(以下,ACと呼ぶ)と金属との界面形状を変えて接合を行い,それらが接合性に及ぼす影響を検討した.試料端面に20〜60°の傾斜部を設けたACアルミナを作製し,これに対応する形状に切削加工したSUS304,KOVARを重ね,Ag-27.5mass%Cu-2.0mass%Tiろうを用いて,接合温度1113K,接合時間0.6ksの条件で接合した.また,FEMソフトANSYSを使用して,実験試料と同様の界面形状を持つ接合部の残留応力解析を行った. 得られた結果を要約すると以下のようになる. 1.EFM残留応力解析では,金属側にKOBARを使用した場合は,接合界面部に角度を付けた場合にむしろ残留応力値が高くなることが示された.一方,金属側がSUS304の場合は,界面部角度が20および40°で応力が約20MPa軽減されることが示された. 2.アルミナとKOVARを接続した結果では,界面部が直線の試料には割れが発生しないのに対して,界面部に角度を付けた試料ではアルミナ側に割れが生じた.この結果はFEMの解析結果に一致していた. 3.アルミナとSUS304継手については,FEM解析で応力低下が見られた界面形状においても,割れが発生した.界面形状変化による残留応力緩和が十分でなかったためと考えられる.
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