研究概要 |
最近超臨界水(Tc=374℃,Pc=22MPa)を用いた応用技術が注目され,それとともに高温高圧領域での超臨界水溶液の物性データが必要となってきているが,最も基本的な密度についても超臨界水溶液の報告例は皆無に等しい。本研究では,近年注目されている流通式振動管密度計に関して,従来法での適用温度範囲を制限していた永久磁石による加振・検出法に対して,圧電素子とレーザードップラーを利用した新しい高温高圧振動管密度計の開発を試み,高温高圧での適用性について検討した。 管振動数の検出には,レーザードップラー法を用いた非接触検出を採用した。レーザーを直接振動管に照射し,その180°反射波でのシフト量を測定した。管の加振は,積層圧電アクチュエータの振動を伝達棒を介することで行った。これらにより,加振・振動検出部は直接高温域に設置する必要がなく,高温域での測定が可能となる。振動管自体も,入力信号に対して自由振動が起こしやすい形状にすることで応答性を向上させた。この装置を用いて,400℃,圧力45,55,65MPaにおける装置定数決定をメタノールならびに水を用いて行った。その結果,この装置構成での測定分解能は約0.002g/cm^3となり,高温高圧域での測定が可能であることが示された。なお,測定精度については約0.006(g/cm^3/℃)となったが,温度制御と固有振動数検出の精度がトータルでの測定精度を決定する重要な要因であることが確認できた.今後測定を行うにあたって、密度データを精度良く得るための課題は示された.まず、振動管内部試料の密度の違いによる固有振動数の偏倚と比較して、振動管の機械的性質の温度依存性に由来した装置定数の変化の影響が無視できない.そのために、現状以上の精度(±0.1K)で温度制御が可能な加熱システムを構築する必要がある.
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