研究分担者 |
松木 健三 山形大学, 工学部, 教授 (70006998)
伊藤 隆 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40302187)
西澤 松彦 東北大学, 大学院・工学研究科, 講師 (20273592)
漆畑 広明 三菱電機株式会社, 先端技術総合研究所・エネルギー変換技術部, 電気化学グループマネージャー(研究職)
仁科 辰夫 山形大学, 工学部, 助教授 (60172673)
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研究概要 |
本研究は二つの大学がそれぞれ異なる手法を用いて協力し,電気自動車等への応用が期待される高性能2次電池,いわゆるリチウムイオン電池の材料開発と評価法の確立に取り組んだものである. 1.山形大では,各構成原子を原子レベルで均一に混合でき,且つ多成分の層状化学物を簡便かつ系統的に合成できるクエン酸錯体法を改良・駆使してミクロ構造制御合成を行った。特に,今後の材料展開を予想してニッケル系およびマンガンスピネル系材料で焼成条件の最適化を進め,サイクル安定性に優れた材料を得ている.(1)LiNiO_2系ではLiやNiに対するクエン酸のモル比を量論比で1.5以上とし,分散仮焼することにより反応を抑制し,最終的に酸素中720℃,15時問以上の焼成で安定な材料を得た。(2)LiCoO_2やLiMn_2O_4の場合は,クエン酸錯体生成後,空気中300℃以下の低温仮焼段階で既にサブミクロンサイズの微粒子の基本骨格が生成し,空気中700℃,4時間の本焼成により,結晶構造が十分に発達した粒径10μmの酸化物が合成できた。 2.東北大では,微量の電池材料で迅速に電気化学特性を評価し,電池材料としての1次スクリーニングを速度論的評価を交えて行うマイクロ電極法を確立し,それらの結果を実電池用試料に反映させるべく山形大及び三菱電機側に流すと共に,ここからフィードバックされる試料を測定に供した。成果を羅列すると,単一の電池活物質粒子(〜10μm)について,(1)分極化での粒子の機械的安定性のin-situ観察,(2)高電圧(〜5V)ボルタンメトリーによる電気化学的安定性評価(3)ACインピーダンス測定を含む過渡応答測定による拡散係数の決定と単一粒子の等価回路解析,(4)in-situラマン及び導電率測定,さらに上記の測定を(5)室温から高温(50度C)に拡張し,温度特性の評価も行っている。
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