研究課題/領域番号 |
10555315
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
有機工業化学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小川 昭弥 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30183031)
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研究分担者 |
平尾 俊一 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90116088)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1999年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | ヨウ化サマリウム / 光励起 / カルボニル化 / 官能基選択的還元 / 炭素-炭素結合生成 / 希土類触媒系 / 電子移動 / 一酸化炭素 / ヨウ化イッテルビウム / 一電子還元 / ラジカル還化 / 還元 / 還元的脱ハロゲン化 / 還元的脱セレノ化 |
研究概要 |
本研究では、希土類イオンの光反応挙動を解明し、これに基づく炭素-炭素結合生成の新手法を確立することを目的として、ヨウ化サマリウム-光還元系について詳細に検討した。その結果、以下に示す研究成果が得られた。(1)ヨウ化サマリウム単独では困難なアルキルクロリドの還元的脱クロロ化反応が、可視光を照射することにより、すみやかに進行することを見い出した。(2)ヨウ化サマリウム-光反応系は、炭素-塩素結合だけでなく、炭素-臭素、炭素-硫黄、炭素-セレン、炭素-テルル結合の還元的開裂に有効に作用した。(3)一酸化炭素をアルキルラジカルの捕捉剤としてヨウ化サマリウム-光-アルキルクロリド(RX)還元系に共存させて反応を行ったところ、アシルサマリウムの二量化を経て生成した非対称ケトン(RC(O)CH_2R)が良好な収率で得られ、希土類を用いる新カルボニル化法を開発した。(4)以上の様な光による活性化は、サマリウムの4f→5d遷移に基づくものであり、励起サマリウムからの一電子移動が、基底状態に比べ格段に高いことを示している。さらにこれまで最も高い還元能力を示すと考えられていたヨウ化サマリウム-HMPA系よりも数倍高いことが明らかとなった。(5)光照射条件下、金属アルミニウムを触媒量の2価イッテルビウム種と組み合わせることにより、従来困難であった希土類触媒反応系が達成された。以上の成果は、希土類試薬の本質的な光反応特性を解明するものであるとともに、有機合成に広く利用可能な新還元系が開発されたものと考えられる。
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