研究課題/領域番号 |
10556005
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
作物学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
矢野 勝也 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助手 (00283424)
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研究分担者 |
飯嶋 盛雄 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (60252277)
山内 章 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (30230303)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
2000年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1999年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1998年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
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キーワード | 圧縮土壌 / 共生 / 菌根 / 根系 / 比根長 / 不耕起栽培 / 養分吸収 / ストレス緩和 / 根圏pH / 土壌ストレス緩和 / 不攪乱土壌 / 難溶性リン酸 / 土壌圧縮 / 土壌ストレス / 根 / マメ科作物 |
研究概要 |
不耕起栽培は、土壌侵食防止や生産コスト低減において利点を有し、また化石エネルギーの消費節減やそれに伴う二酸化炭素排出の抑制など地球環境保全面からも注目されている。しかし、耕起作業の省略によって土壌硬度が増加するために作物根系の発育が阻害されやすく、養分吸収能の底下や倒伏性増大による収量不安定化が不耕起栽培の障壁となっている。多くの作物種の根には、糸状菌の一種VA菌根菌が感染して菌根を形成し、リンをはじめとする各種無機養分の吸収を促進させることが知られている。本研究は、この菌根共生系を活用することで、阻害された作物根系の発育を回復できることを示した。すなわち、菌根菌は植物の根内部に侵入する一方で土壌中に菌糸を伸長させ、菌糸のネットワーク構造を構築する。この構造は各種無機養分を土壌から宿主植物へ供給する役割を担うとともに、次の宿主植物を探索する機能も有している。通常の耕起土壌においては、このネットワーク構造が物理的に破壊されるが、攪乱の少ない不耕起土壌では構造が保持され、後作物の菌根形成を促す。この結果、土壌硬度が増大した不耕起土壌条件下で作物根系の発育阻害を引き起こす圧縮土壌ストレスを大きく緩和させることを明らかにした。また、菌糸ネットワーク構造の破壊に伴う菌根菌感染能の低下は菌種によって異なり、他の菌種の存在にも影響されることが明らかとなった。さらに、根-菌糸(菌根)ネットワークの機能として、作物根の分泌物によって難溶性リン酸から溶出するリン酸イオンを、根圏に存在する他の微生物との競合を乗り越えて宿主作物まで輸送する実態を明らかにし、根と菌との相互作用が重要な役割を果たすことを実証した。
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