研究課題/領域番号 |
10556072
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
応用獣医学
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
源 宣之 岐阜大学, 農学部, 教授 (10144007)
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研究分担者 |
清水 悠紀臣 (株)微生物化学研究, 所長(研究職)
杉山 誠 岐阜大学, 農学部, 助教授 (80196774)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
12,700千円 (直接経費: 12,700千円)
2000年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1999年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
1998年度: 7,200千円 (直接経費: 7,200千円)
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キーワード | 感染性cDNA / 新世代ワクチン / 遺伝子補強 / キメラウイルス / 遺伝子組換え / 狂犬病 / 病原性 / 感染性cDNAクローン / ミニゲノムプラスミド / フルゲノムプラスミド / 点変異 / 経口ワクチン / T7プロモーター / 発見ベクター |
研究概要 |
本研究では、逆遺伝学的手法を用いて、新世代の経口不活化ワクチンの開発を試みた。すなわち、我が国の現行の動物用ワクチン株であるRC-HL株遺伝子に、高い免疫原性を有する遺伝子を追加あるいは交換した遺伝子補強型の感染性cDNAクローンを作出し、既存の概念と異なる新世代ワクチンの開発を目指した。 我が国の動物用狂犬病ワクチンの製造株で、哺乳マウスに対してのみ病原性を示す、弱毒型のRC-HL株は、培養細胞で良好に増殖するが、免疫原性が低い。一方、その親株で成熟マウスに病原性を持つ、強毒型の西ヶ原株は、免疫原性は高いが、培養細胞での増殖性がきわめて低い。そこで、まず両株の全遺伝性状を比較検討した。その結果、両株の間では、免疫原性に関与する糖(G)蛋白質をコードするG遺伝子で最も変異の激しいことを明らかにした。つぎに、本研究の核心部である、RC-HL株による感染性cDNAクローンの作出を試みた。この作製に約2年を要したが、ついにcDNAからのRC-HL株の回収に成功し、逆遺伝学的手法を確立した。狂犬病ウイルスとしてはConzelmanらに次いで世界で2例目である。さらに、G遺伝子のみ西ヶ原株由来、残りの4つの遺伝子はすべてRC-HL株由来のキメラウイルスの回収に成功した。キメラウイルス、R(G)は、RC-HL株やリコンビナント(r)RC-HL株と同様に培養細胞での増殖性が良好であった。そこで、西ヶ原株、RC-HL株、rRC-HL株およびR(G)株のマウスに対する免疫原性を調べた。その結果、キメラウイルス、R(G)株は西ヶ原株と同等の高い免疫原性と、RC-HL株と同じ培養細胞での増殖性を保持していることが明らかになった。 以上の如く、RC-HL株を基盤にした感染性cDNAを初めて確立することが出来た。また、ワクチン製造にとって好都合な免疫原性が高く、培養細胞での増殖性の良い生物性状を持ったキメラウイルスの作出にも成功した。したがって、作出したキメラウイルス及び確立できた逆遺伝学的手法は、新世代ワクチンの開発に応用できるものと思われた。ただ、今回作出出来たキメラウイルスは、成熟マウスに対する病原性を獲得しており、病原性関連遺伝子領域の改変が必要である。また、逆遺伝学的手法を用いて、さらに免疫原性の高い、キメラウイルスやタンデムウイルスを作出する足掛かりが得られたので、さらなる研究の継続を希望する。
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