研究課題/領域番号 |
10557013
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
医化学一般
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
岸田 昭世 広島大学, 医学部, 助手 (50274064)
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研究分担者 |
中田 元巳 住友電工, バイオメディカル研究部, 主査(研究職)
浅原 利正 広島大学, 医学部, 教授 (70175850)
菊池 章 広島大学, 医学部, 教授 (10204827)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
12,300千円 (直接経費: 12,300千円)
2000年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1999年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1998年度: 7,800千円 (直接経費: 7,800千円)
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キーワード | GSK-3β / Axin / β-catenin / APC / Idax / Dvl / Duplin / Axam / 細胞増殖 / 大腸癌 |
研究概要 |
APC(Adenomatous Polyposis Coli)遺伝子産物は大腸癌で変異が認められ、その変異によりβ-cateninの分解が抑制されて細胞内に蓄積することが癌化の一つの原因であると考えられていたが、APCによるβ-catenin分解の作用機構は不明であった。β-cateninはWntシグナル伝達経路によっても分解が制御されることが知られており、WntシグナルはFrizzled、Dvl、GSK-3βを介してβ-cateninを安定化する。私共は、GSK-3β結合蛋白質AxinとAxil(Axin like)を同定し、AxinがGSK-3βによるβ-cateninのリン酸化とユビキチン化、プロテアソームでの分解を促進することや、AxinがWnt依存性の遺伝子発現を抑制すること、AxinはGSK-3βのみならずAPCや、β-catenin、Dvl、蛋白質脱リン酸化酵素PP2Aなどと複合体を形成してWntシグナルを効率良く選択的に伝達する足場蛋白質として機能することを抑制することを明らかにした。さらに、GSK-3βによるβ-cateninのリン酸化がAxinやAPCの存在下で著明に促進され、Axinに結合したGSK-3βがAPCを介してAxinと複合体を形成したβ-cateninを効率良くリン酸化することを明らかにした。実際に癌症例でのAxinやAxilの変異が見出され、これらの遺伝子を用いた癌の遺伝子診断の実用化の可能性が高くなった。また、β-catenin、Axin、Dvlに結合する新規蛋白質を検索同定し、その機能を解析した。新規β-catenin結合蛋白質Duplinはβ-cateninとTCFの複合体形成を阻害し、Wnt依存性のTCF転写活性促進を抑制した。新規Axin結合蛋白質AxamはAxinとDvlの結合を阻害し、大腸癌細胞SW480にAxamを導入した細胞では、細胞内β-cateninが著明に減少した。新規Dvl結合蛋白質IdaxはDvlのAxinに対する結合を阻害し、Wnt依存性の細胞内β-cateninの蓄積と遺伝子発現を抑制した。これら3種類の新規蛋白質は、いずれもWntシグナルを抑制すると考えられるので癌抑制遺伝子産物として機能する可能性が高いと考えられた。
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