研究課題/領域番号 |
10557027
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
高橋 潔 熊本大学, 医学部, 教授 (70045631)
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研究分担者 |
鈴木 宏志 中外製薬, 創薬資源研究所, 主任研究員
坂下 直実 (坂下 直美) 熊本大学, 医学部, 助手 (90284752)
竹屋 元裕 熊本大学, 医学部, 助教授 (90155052)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
1999年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
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キーワード | 粥状動脈硬化症 / スカベンジャー受容体 / ノックアウトマウス / 泡沫細胞化 / 形態計測 / マクロファージ / 画像解析装置 / 抗酸化製剤 / 泡抹細胞化 / マウス |
研究概要 |
粥状硬化病巣の定量的解析に最も有効な方法は、組織切片を用いた病巣サイズの計測と考えられる。本研究では、早期に粥状硬化病変が形成され、しかも切片の作製位置の特定が容易である大動脈起始部を用いて、病巣サイズを計測する方法を確立した。具体的には、大動脈起始部と大動脈弁を横断する異なる高さの4つの切片を作製し、粥状硬化病巣の面積を画像解析装置で計測した。 この方法を用いて、マクロファージスカベンジャー受容体(MSR)とLDL受容体欠損マウスの二重欠損マウスについて、粥状硬化病巣の形成過程を比較すると、MSR欠損によって粥状硬化病巣の進展が抑制されることが定量的に証明され、今回の解析方法が粥状硬化病巣の解析に有用であることが示された。この際、MSR/LDL受容体二重欠損マウスでの減少率は約20%であったが、残存する病巣形成には、CD36、MARCO、CD68/MacrosialinなどのMSR以外のスカベンジャー受容体がマクロファージの脂質取り込みに関与するものと考えられた。また、新規に開発された抗酸化剤(BO-653)を食餌性に投与したマウスで今回の計測方法を用いて病巣サイズを計測すると、コントロールマウスに比べ粥状硬化病巣の形成が抑制されることがわかり、抗動脈硬化薬剤の効果判定にも利用可能であることが示された。 画像解析顕微鏡システムの導入によって粥状硬化病巣の定量的解析が簡便に行えるようになったが、急性冠症候群の発症には、冠動脈の狭窄度よりも粥腫の性状が深く関与し、マクロファージに富む柔らかい粥腫が粥腫破綻を起こしやすい事がわかってきた。このことから、粥状硬化病巣の評価には単に病巣サイズを比較するだけでは十分でなく、マクロファージの集積度や線維化の程度を加味した粥腫の病理学的性状を合わせて検討することが重要と考えられ、今後の検討課題と思われた。
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