研究課題/領域番号 |
10557065
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 国立精神・神経センター |
研究代表者 |
武田 伸一 国立精神・神経センター, 神経研究所・遺伝子疾患治療研究部, 部長 (90171644)
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研究分担者 |
鈴木 友子 国立精神・神経センター, 神経研究所・遺伝子疾患治療研究部, 室長(研究職)
花岡 和則 北里大学, 大学理学部・分子発生, 教授 (40189577)
宮越 友子 国立精神・神経センター, 神経研究所・遺伝子工学研究部, 研究員
埜中 征哉 国立精神・神経センター, 神経研究所・微細構造研究部, 部長 (80040210)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
13,200千円 (直接経費: 13,200千円)
2000年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1999年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1998年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
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キーワード | 基底膜 / メロシン / 先天性筋ジストロフィー / dy3Kマウス / MHC IIB / アポトーシス / 筋再生 / インテグリン / ラミニン / myosin IIB chain / ノックアウトマウス / alphaジストログリカン |
研究概要 |
我々はメロシン欠損先天性筋ジストロフィーのモデルマウスであるlaminin alpha2 chain遺伝子に変異を持つマウス(dy3K)を作成し、その筋変性の機序を調べた。メロシン欠損の筋ジストロフィーでは、Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)と同様、fast twitch fiberの中でもMHC IIBタイプの筋線維が主に変性を起こすと考えられてきた。そこで,MHC IIBを欠損させたマウスを、アメリカ コロラド大学のLeinwand博士から譲渡してもらい、dy3Kとかけ合わせて、LAMA2(-/-)MHC IIB(-/-)のダブルノックアウトマウスを作成し、ラミニン欠損による筋変性に対するfiber typeの影響を検討した。しかしMHC IIBを欠損したマウスでは、ラミニン欠損による筋変性はdy3Kと同程度で起こり、前脛骨筋の筋線維数、重量、マウスの寿命に有為差はなく、laminin alpha2 chain欠損によう先天性筋ジストロフィーにおいて従来言われているfast typeの中で、特にIIBfiberが筋変性に陥りやすいのではないかと言う仮説は否定された。次にdy3Kの初期段階の変性のメカニズムを検討したところ、筋変性が起こりはじめる生後9-10日に、エバンスブルー色素法により、一過性の膜透過性の異常な亢進を検出した。次に、筋変性後におこる筋再生途上の筋管で、TUNEL陽性細胞が出現し、アポトーシスに関与する活性型のcaspase-3の発現が検出された。それらの結果として、筋再生が著しく抑制されていたのである。従って、ラミニン欠損による筋ジストロフィーでは筋再生過程に細胞死が誘導され、筋再生が著しく抑制されることが明らかになった。しかも、正常マウスの再生筋では発現が誘導されるラミニンα5鎖の発現が、dy3K骨格筋の再生過程では誘導されないことが、こうした現象の背景となっていると考えられた。今後、基底膜の異常によるアポトーシスを抑制することがラミニン欠損による筋ジストロフィーの治療に結びつく可能性がある。
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