研究概要 |
1.人工皮膚作製法の確立:線維芽細胞をコラーゲンゲル内で培養し、その上にケラチノサイトを播種・増殖させた後、さらに空気曝露により分化を誘導し重層化させた。重層化した三次元培養皮膚の構築成分について免疫組織学的ならびに電子顕微鏡的に検索したところ、細胞接着分子(desmogIein1,3,desmoplakin,E-cadherin,b1 integrin)、分化のマーカー(involucrin)は正常表皮と同様に十分に発現しており、基底膜構成成分であるヘミデスモゾームの形成は良好で、類天疱瘡抗原、β4 integrinも十分に発現していたが、基底板、係留線維の形成は認められるものの不連続で、不完全なものであった。大きさでは、直径75mmの三次元培養皮膚の作成は可能であった。 2.HB-EGF組み込みアデノウイルスベクターの作成:HB-EGF cDNAを組み込んだアデノウイルスベクターを作成し、大量に増殖させ、精製・濃縮した。この組換えアデノウイルスベクターをケラチノサイトに感染させ、HB-EGFの発現を抗HB-EGF抗体を用いた蛍光抗体法にて検討したところ、HB-EGF蛋白の発現が認められた。さらに、三次元培養皮膚の表皮と真皮の間にAdexHB-EGF,AdexGFP液を注入し、経時的にHB-EGF,GFPの発現をみたところ、感染後2日目には表皮にHB-EGF,GFPの発現が認められた。遺伝子の発現はほぼ全層にわたり発現が認められ、基底層にも十分の発現が認められた。HB-EGFを導入した三次元培養皮膚のほうがGFP導入の三次元培養皮膚より表皮の構築が保たれている印象を受けた。
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