研究課題/領域番号 |
10557092
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 九州看護福祉大学 |
研究代表者 |
船越 崇行 九州看護福祉大学, 看護福祉学部, 教授 (90150549)
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研究分担者 |
島田 秀昭 熊本大学, 薬学部, 助手 (40226212)
田中 晴人 , 教授
溝上 寛 化学及び血清療法研究所, 試作研究部, 部長
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
9,400千円 (直接経費: 9,400千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1999年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1998年度: 7,100千円 (直接経費: 7,100千円)
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キーワード | Annexin-V / 抗凝固ペプチド / リポソーム封入 / Ca^<2+>依存性膜結合蛋白質 / 抗凝固作用部位 / 抗血栓作用 |
研究概要 |
本研究はAnnexin-V及びその作用部位関連ペプチド類の塞栓防御作用を利用し、抗塞栓剤としてより効果的に応用する目的で研究を遂行した。その結果、以下のような成果を得た。 1.Annexin-Vの培養調整:Annexin-VのcDNAをプラスミドベクター(pUC18)ヘクローニングし、これを酵母菌を含む培養液中で培養した。この培養液を硫安分画、DEAE-Sepharose吸着クロマトグラフィー、Sephadex G-75ゲル濾過及び高性能液体クロマトグラフ(HPLC)を用いてAnnexin-Vを調製した。このリコンビナントAnnexin-Vはヒト胎盤から精製したAnnexin-Vと同様の性質を示し、同程度の抗凝固・抗塞栓作用を持つことが明らかになった。 2.作用部位関連ペプチドの化学合成:Annexin-Vの作用部位ペプチドDHTLIRの類似ペプチド、HDTLIR、HDTQPRVLD、ペプチドの生体内半減期を長くするためにそのN末端をAcetyl基、C末端をNH_2基でブロックしたり(Ac-HDTQPRVLD-NH_2,Ac-hDTQPRVLd-NH_2)、N末端とC末端をS-S架橋でつないだ環状ペプチド(Ac-cHDTQPRVLDc-NH_2)等を化学合成し、これらをHPLC(逆相カラム)で精製して、その抗凝固作用(in vitro)及び抗塞栓作用(in vivo)について解析した.その結果、末端をブロックしたり、環状化すると両作用とも消失した。 3.リポソーム封入Annexin-V及びその作用部位関連ペプチドの抗凝固・抗塞栓作用:Annexin-V及び上記ペプチドを各種リポソームへ封入し、その作用を検討した結果、抗凝固・抗塞栓作用はペプチド単独に比して低下することが判明した。 4.抗塞栓作用:肺塞栓モデルマウスはマウス尾静脈より、30-40mg/kgのリオプラスチン(組織因子、リン脂質を含む)を投与することによって作成し、これに対するリポソーム封入Annexin-V及び抗凝固ペプチドの抗血栓作用をその延命効果で判定した結果、リポソーム封入により抗塞栓作用は低下した。 5.副作用・毒性の検討:マウス、ラット、モルモット、ウサギを用いてAnnexin-V及び抗凝固ペプチドを投与した場合の副作用及び毒性は全く認められなかった。 6.抗塞栓作用への応用:肺塞栓モデルマウスを用いてAnnexin-V及び関連ペプチド並びにそのリポソーム封入体の延命効果を検討した結果、Annexin-V>HDTQPRVLD>HDTLIR>DHTLIR>SHTLIR>リポソーム封入体の順に抗塞栓作用を示した。遺伝子工学的に調整したリコンビナントAnnexin-Vは大量生産が可能であり、ヒト胎盤から精製したAnnexin-Vと同様の抗塞栓作用を示すことから、安全で強い抗塞栓剤として最も有望である。抗凝固・抗塞栓作用をもつ作用部位閥連ペプチド類も安全性が高く、抗凝固剤として応用可能と思われる。
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