配分額 *注記 |
11,100千円 (直接経費: 11,100千円)
2000年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1999年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1998年度: 8,300千円 (直接経費: 8,300千円)
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研究概要 |
本研究の目的は,静脈麻酔薬のみを使用する完全静脈麻酔を,生体情報のフィードバックによる遠隔自動制御で行うことである.用いた麻酔薬は鎮静薬としてプロポフォール,鎮痛薬としてフェンタニル,筋弛緩薬としてベクロニウムの3つである. 初めに汎用パーソナルコンピュータと持続注入用シリンジポンプを用い,薬物動態・薬力学モデルに基づき薬物血中・効果部位濃度を予測計算し,算出された予測濃度を指定した目標値に保つTarget-Controlled Infusion(TCI)のシステムを構築した.ソフトウェアは全て独自開発した.次に1台の汎用パーソナルコンピュータで3台のシリンジポンプを接続できる拡張ボードを装着した. 生体情報としては鎮静度を表すBispectral Indexと筋弛緩モニターから得られる単収縮率を用いた.Bispectral Indexとプロポフォールの予測効果部位濃度との関係をリアルタイムに算出して,指定したBispectral Indexを保つようにプロポフォール注入速度を制御するアルゴリズムを開発した.また,筋弛緩モニターの単収縮率をフィードバックし,指定した筋弛緩を維持するアルゴリズムを開発した.これらにフェンタニルのTCIを加え3薬剤を1台のコンピュータで制御する静脈麻酔システムを完成させ,実際の麻酔管理に使用し安定した麻酔状態を維持することができた. さらに遠隔制御用ソフトウェアを用い,シリンジポンプが直接接続されているコンピュータの麻酔薬制御画面を院内LAN経由で別のコンピュータに表示し,その画面から制御するシステムを構築した.実際の臨床に使用し遠隔監視・制御が可能であった.本研究の成果に加え,他の生体情報の監視,人工呼吸器制御,輸液制御など他の遠隔操作を統合することで近い将来に遠隔制御の静脈麻酔用麻酔システムが一般臨床の場で使用されることが期待できる.
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