配分額 *注記 |
13,000千円 (直接経費: 13,000千円)
2000年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1999年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1998年度: 9,100千円 (直接経費: 9,100千円)
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研究概要 |
着床前遺伝子診断(preimplantation genetic diagnosis:PGD)を行う上で,性別診断にかわり,疾患遺伝子の診断の開発が要求される。実際に疾患患者の細胞に対して,単一細胞から高い効率でDNA抽出を行うために開発したSpanning protocolと,Dystrophin遺伝子変異に対するmultiplex-nested PCR法の有する診断効率を検証し,さらに診断精度を向上させるために割球診断に加え,極体生検による補助診断を行う方法について有効性を検討した。DNA抽出法として開発したSpanning protocolでは界面活性剤を用いて細胞融解およびDNA spanを行う。増幅効率はWater methodは50%,Freezing and boiling methodは35%,Two-step lysis protocolは85%であったのに対し,Spanning protocolは90%の高い増幅効率を示した。multiplex-nested PCRの結果は,非疾患単一細胞・疾患単一細胞からのexon8,44,45,51に対する検出率は約85%であり,非疾患胚を正常と診する精度および疾患胚を異常と診断する精度は,割球のみでは85%,偽陰性率は5%と算定された。しかし,割球と極体診断を併用することにより,正診率は99.9%,偽陰性率は0.1%まで減少しえた。割球診断に加え,侵襲の少ない極体診断を併用することで診断ミスを減少することが可能となった。 一方、我々はfetal angiographyを胎児形態機能学的解析の重要な手法の一つと位置付け、様々な角度から検討した。血管構築の把握が特に重要である胎児頭部については、胎児が頭位である場合は経腟法が経腹法に比して良好な描出力を示し、妊娠初期〜中期のfetal angiographyに適した方法と考えられた。頭部以外の異常例を含めた検討でも可及的早期からのパワードプラ、カラードプラを用いたfetal angiographyの積極的な施行が従来のB-mode断層像を凌駕する病変検出力を有することが明かとなった。また我々は最新の超音波血流表示法であるB-Flowを用いて、胎盤胎児側血流の三次元画像構築を本邦で初めて実現した。胎児内部の血管構築の三次元表示は現状では技術的に困難だが、血流動態の客観的な把握に三次元的な理解は不可欠であり、今後空間分解能に優れカラー表示の血管壁からのはみ出しも生じない本法のfetal angiographyへの応用が期待される。
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