配分額 *注記 |
13,500千円 (直接経費: 13,500千円)
2000年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1999年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
1998年度: 7,200千円 (直接経費: 7,200千円)
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研究概要 |
本研究では,主にビーグル犬を用いた動物実験により,抗菌性モノマーMDPB(12-methacryloyloxydodecyl-pyridinium bromide)を配合した試作抗菌性接着システムの臨床的有用性の評価を行った。 1.試作5%MDPB配合セルフエッチングプライマーは,ヒトう蝕象牙質から得られた新鮮分離嫌気性菌に対して,市販プライマーよりも明らかに強い殺菌性を示した。 2.試作プライマーの窩洞内残存細菌に対する抗菌効果を,イヌの歯に形成した窩洞にStreptococcus mutansを接種したモデルで検討した。窩洞にプライマーを塗布した後に窩底部の象牙質を回収し,生菌数を測定した結果,試作プライマーを塗布した場合は全く生菌が回収されなかった。また,モデル窩洞に試作プライマーを用いて充填処置を行い,7および30日後に歯髄の状態を組織学的に観察したところ,MDPB非配合のプライマーを使用した場合は軽度の炎症反応が観察されたのに対し,試作プライマーでは全く炎症反応は認められなかった。 3.ビーグル犬の歯に試作プライマーを用いてコンポジットレジン充填を行い,7日後に歯髄の状態を観察した結果,全く炎症は認められなかった。また,接着界面には約1μm幅の樹脂含浸層と十分な長さのレジンタグの形成が認められた。 以上の結果より,試作プライマーが,in vivoにおいて窩洞内の細菌を効果的に殺菌または不活化できること,試作プライマーには歯髄への為害作用はなく生体親和性にすぐれること,および試作プライマーの使用によりin vivoでも確実な接着性が得られることなどが明らかとなり,抗菌性モノマーMDPB配合接着システムが臨床において有益であることが示唆された。
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