研究課題/領域番号 |
10557192
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
外科系歯学
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研究機関 | 大阪大学 (2000) 徳島大学 (1998-1999) |
研究代表者 |
由良 義明 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (00136277)
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研究分担者 |
日下 淳 徳島大学, 歯学部・附属病院, 助手 (80304541)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
2000年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1999年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1998年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
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キーワード | 単純ヘルペスウイルス / 唾液腺癌 / 遺伝子治療 / 変異ウイルス / 細胞融合 / 欠損ウイルス / チミジンキナーゼ |
研究概要 |
唾液腺癌の特徴として、再発や領域リンパ節あるいは遠隔臓器への転移が挙げられる。このような再発・転移をきたした症例を、現存の化学療法や放射線治療で治癒させることは、極めて困難である。新しい癌の治療法としては、遺伝子治療が注目されている。通常の遺伝子治療では、増殖能のないウイルスベクターに抗腫瘍性遺伝子を組み込み、癌細胞へ導入する方法がとられているが、増殖型のウイルスを用いて腫瘍細胞を破壊することも試みられており、各種癌で一定の効果が認められている。リボヌクレオチド還元酵素であるICP6を欠損したHSV-1(hrR3)は休止期細胞では増殖性が著しく低下する。そのため、増殖能を有する癌細胞をより選択的に細胞融解に陥らせる性格を有している。hrR3より分離した細胞融合能を有するhrR3fは、lacZ発現と多核巨細胞形成の2つのマーカーをもつ重複変異ウイルスであり、そのマーカーを検出することで、ベクターの生体内分布を容易に把握できる利点を有している。ヒト耳下腺腺癌HSY細胞に対する細胞融解効果を検討した結果、低い感染多重度ではhrR3は十分な細胞融解効果を示さなかったが、hrR3f感染では隣接する癌細胞が多核巨細胞を形成しながら感染が拡大するため、早期に完全な細胞融解をきたした。さらに、HSY細胞を移植したヌードマウス腫瘍にhrR3fを投与したところ、腫瘍増殖は強く抑制され、腫瘤が消失するものも認められた。また、TPAにて、細胞融合が顕著に促進され、サイトカラシンDでは、HSV-1の細胞外放出が促進されることも明らかとなった。したがって、このようなHSV-1感染を修飾する方法を組み合わせることで、hrR3fの細胞融合作用をより確実なものにし、癌細胞を効率よく破壊できるものと思われる。
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