研究課題/領域番号 |
10557203
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
歯周治療系歯学
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
岡橋 暢夫 国立感染症研究所, 口腔科学部, 主任研究官 (40150180)
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研究分担者 |
柴崎 顕一郎 ライオン(株), オーラルケア研究所, 主任研究員
西原 達次 国立感染症研究所, 口腔科学部, 室長 (80192251)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1999年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1998年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
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キーワード | 破骨細胞 / アポトーシス / 歯周病 / caspase / リポ多糖 / サイトカイン |
研究概要 |
炎症性の骨吸収は、歯周病の最も重要な症状のひとつであり、歯牙の喪失は主な原因となっている。この炎症性骨吸収による歯の喪失を予防が歯周病治療の目標のひとつである。骨吸収は、破骨細胞と呼ばれる多核の巨大細胞が水素イオン(プロトン)を産生し、骨塩を溶解することによって引き起こされる。歯周病においては、歯周病細菌のLSPなどの病原因子により炎症が惹起されるとともに破骨細胞が局所的に誘導され、異常な骨吸収が引き起こされる。我々は、歯周病細菌による破骨細胞の増殖、活性化の過程を調べるうちに、数種類の化合物が破骨細胞の分化を抑制したり、破骨細胞にアポトーシスを誘導して死滅させることを見い出した。本研究では、この機序を調べ、炎症生骨吸収への応用を目ざすものである。 マウス骨髄細胞培養系において、歯周病細菌のLPSは破骨細胞の形成を促進する。プロスタグラジン阻害剤および各種の抗体を用いた実験により、この破骨細胞形成促進にはPGE2およびIL-1が関与していることが明かとなった。また歯周病細菌LPSにより、骨芽細胞における破骨細胞分化因子(ODF)の発現が促進されることも明らかになった。また、ODFがどうようなシグナルを介して破骨細胞の形成を促進するのかを調べた結果、ODFはIL-1と同様にNF-kBを活性化することが見出された。骨髄細胞培養系に含流アミノ酸の一種タウリンを加えると破骨細胞の形成が顕著に阻害された。またプロトンATPase阻害剤は破骨細胞の形成を完全に阻害した。骨髄細胞培養系にODFおよびM-CFSを加えても破骨細胞の形成が起こるが、プロトンATPase阻害剤は、これも完全に阻害した。最後に含流アミノ酸タウリンが実験動物レベルでも骨吸収を抑制するかどうかを調べた結果、ハムスターにおける実験的歯周炎に伴う歯槽骨吸収をタウリンが抑制することが示された。 本研究の結果から、含流黄アミノ酸タウリン歯槽骨吸収抑制活性があることが見出された。タウリンは、乳幼児の人工ミルクに必須の成分として用いられている他、栄養ドリンクなどにも広く用いられている。本研究の結果はタウリンの新しい応用の途を開くものと期待される。プロトンATPase阻害剤についても、炎症生骨吸収の抑制に応用される可能性があるものと考えられる。
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