研究概要 |
1.シナプトソームを免疫原とするモデル動物の作成 シビレエイ電気器官シナプトソームで免役したマウスの神経-筋標本(横隔膜)の終板電位の量子解析を行ったところ,ランバート・イートン筋無力症(LES)に特徴的な伝達物質遊離量子数の減少が確認された。 2.受動免疫によるモデル動物の作成 上記と同様に電導器官シナプトソームを用いてウサギに能動免疫を行い、そのウサギの血清をマウスに注入することによりマウスへの受動免疫を行った。LES患者の血清を受動免役した場合と同様に、伝達物質遊離量子数の減少が認められた。 3.SCLC細胞のP型Caチャネルに対する患者血清の効果 高カリウム刺激時におけるSCLC細胞のCa上昇をイメージング法で測定し,各Caチャネルタイプの特異的毒素による阻害効果を調べた。その結果全体のCaチャネルのうちLES発症原因とされるP型Caチャネルの割合は約20%であると推定された。このSCLC細胞を患者あるいは健常人のIgGとインキュベートし、高K刺激時のCa上昇の差を調べたが、有意差は認められなかった。 4.アセチルコリンエステラーゼ阻害薬の効果 マウスの神経筋標本を用いて、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジル)の効果を調べたところ,quantal contentsの増大が認められ,しかも,LESの治療に現在繁用されている4-aminopyridine(副作用大)と相乗作用があることを見出した。 5.P型Caチャネル可視化の試み LES発症機構と考えられているP型Caチャネルのdown regulationの機構として,internalizationを仮定した。これを実証する目的で,FITC標識した合成ペプチド毒ω-AgaIVAを用いてP型Caチャネルの蛍光ラベル化の可能性を検討したところ,共焦点顕微鏡下でSCLC細胞膜近辺に明るい蛍光が認められた。
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