配分額 *注記 |
9,800千円 (直接経費: 9,800千円)
2000年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1999年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1998年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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研究概要 |
細菌の中にはBacillus属やClostridium属など,好ましくない環境に遭遇すると芽胞を形成して休眠するものがあるが,近年いくつかの細菌で,芽胞は形成しないが,形態機能を変化させて環境変化に耐える細菌が存在すると考えられるようになった。このような細菌は,明らかに生きてはいるが培養では検出できない状態(Viable but non-culturable:VNC)で存在している。水中の細菌のうちの一部は病原性を示し,その多くは通常は培地による培養法で検出可能であるが,非流行期に病原菌が検出されない原因や大腸菌0157の汚染ルートが特定しにくい原因としてVNCの状態で存在する可能性が考えられる。ビブリオ属菌のVNCの遺伝学的あるいは免疫学的な検出法を開発して,生態学的研究を行いVNCの病原学的意義を明らかにすることを目的として本研究を行った。特にVNC状態の腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)検出法の開発を目的とした特異検査法の検討を行った。すなわち,その側毛性鞭毛が種特異抗原物質であり,遺伝子配列も明らかにされていることを利用して,polymerase chain reactibo(PCR)による高感度の検出法を検討した。なお改良の余地はあるものの実用的な方法になったと考えている。 一方,これと併行して腸炎ビブリオの生態学的な予備調査を行った。本菌の生態学的調査でも,臨床検査に用いられる選択性のある培地がよく用いられるが,選択性のない培地で培養した菌からレプリカ法で検査した場合と比較すると,著しく本菌の数が少ないことが明らかになり,ストレス状態あるいはダメージを受けた1種のVNC状態の菌が相当数存在することが示された。
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