研究課題/領域番号 |
10557244
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
応用薬理学・医療系薬学
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
川崎 博己 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (60125151)
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研究分担者 |
黒崎 勇二 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (90161786)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
13,300千円 (直接経費: 13,300千円)
1999年度: 6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
1998年度: 6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
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キーワード | 抗高血圧薬 / 長期投与 / 血管周囲神経機能 / 高血圧自然発症ラット / カルシトニン遺伝子関連ペプチド / 腸間膜動脈 / アドレナリン作動性神経 / 血管拡張性神経 / 交感神経 / 抵抗血管 / 高血圧自然発生ラット / 抗高血圧薬薬 / 自然発生高血圧ラット |
研究概要 |
8週齢高血圧自然発症ラット(SHR)を用い、各種抗高血圧薬を飲料水に溶解して与え7週間投与した。抗高血圧薬としてカルシウム拮抗薬(Ca拮抗薬;nicardipine,pranidipine,amlodipine)、アンジオテンシン(A)変換酵素(ACE)阻害薬;enalapril,temocapril)、AII受容体拮抗薬(TCV-116)、血管拡張薬(hydralazine)を選択した。15週齢時に麻酔下に頚動脈血圧を測定した結果、抗高血圧薬投与群のいずれにおいても有意な血圧下降が観察された。次にこれらの抗高血圧薬長期投与ラットの摘出腸間膜動脈灌流標本を作製し、その灌流圧を血管緊張度変化として測定した。経壁電気刺激による交感神経性血管収縮反応はCa拮抗薬,ACE阻害薬,AII受容体拮抗薬投与群では無処置SHRに比較して小さかったが、血管拡張薬投与群では著明な変化は観察されなかった。交感神経伝達物質noradrenaline(NA)神経性遊離はCa拮抗薬、ACE阻害薬投与群で抑制されていた。これらの結果、Ca拮抗薬、ACE阻害薬、AII受容体拮抗薬の長期投与は交感神経伝達を抑制することが確認された。次に、経壁電気刺激によるCGRP含有血管拡張性神経(CGRP神経)性の血管弛緩反応はACE阻害薬およびAII受容体拮抗薬投与群では無処置SHRに比較して有意に大きかった。しかし、Ca拮抗薬と血管拡張薬投与群では変化は見られなかった。神経刺激によるCGRPの遊離はACE阻害薬投与群において有意に大であった。acetylcholine(ACh)による血管内皮細胞依存性の血管弛緩反応はACE阻害薬、AII受容体拮抗薬投与群では大であったが、Ca拮抗薬投与群では小さかった。SHR脊髄後根節のCGRPmRNA発現量は加齢に従って減少し、WKYよりも減少していた。この減少したSHRのCGRPmRNA発現量に対して抗高血圧薬のいずれも長期投与によって影響しなかった。以上の結果、ACE阻害薬、AII受容体拮抗薬の長期投与は交感神経機能を抑制し、CGRP神経機能および血管内皮細胞機能を促進する作用があることが認められた。その機序としてCGRP神経伝達機構の促進が考えられる。本研究の成果は、血管周囲神経機能を抑制する新規抗高血圧薬の評価法として有用であると考えられる。
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