研究課題/領域番号 |
10557251
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
病態検査学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
松本 明 神戸大学, 医学部, 助教授 (80181759)
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研究分担者 |
伊東 恭子 神戸大学, 医学部, 講師 (80243301)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1999年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / βアミロイド / セクレターゼ / マーカー蛋白 / 老人斑 / βセクレターゼ / セリンプロテアーゼ / 発症前診断 / 天然基質 |
研究概要 |
ヒトリンパ球から血中に分泌される68Kセリンプロテアーゼはリンパ球由来のAPPをそのβアミロイドN端で基質として切断し、APPのC端側低分子ペプチドを形成するが、ヒト脳由来APPは切断せず基質の組織特異性があることが明かになった(雑誌論文2)。この結果から、このプロテアーゼはアルツハイマー病の発症前診断の候補分子とはならずさらにヒト脳からプロテアーゼを探索する必要性があった。 ヒト脳APPを基質として切断しAβを含む低分子ペプチドを形成する活性をヒト脳海馬よりリガンド特異的吸着クロマトグラム、非変性電気泳動等により探索、部分精製した(雑誌論文4)。数種の候補蛋白のうち精製の目処のついた40kDa分子に着目し、解析単離されたヒト脳型カルボキシペプチダーゼB(HBCPB)の生化学的特性、分子生物学的特性、正常人脳および孤発型における免疫組織化学的知見はつぎのとうりである(業績1)。HBCPBはエンドペプチダーゼ活性(ヒトAPPを中性pH域で代謝してAβを含むC端側断片群を形成する活性)のほか、最近Aβ42/40のC端側アミノ酸を遊離するエキソペプチダーゼ活性(カルボキシペプチダーゼ活性)をin vitroでもつことが明かになった。HBCPBはトリプシンによりそのプレプロ型からシグナルペプチドと活性化ぺプチド遊離した成熟型酵素になるものと推定され、肝臓で産成されている血清型CPB(HPCPB)と類似したcDNA構造をもつ。HBCPBはHPCPBと相互にalternative splicing isoformであると考えられるが、HBCPBには単一エクソンにコードされるC端側ペプチド(C14モジュール)が存在し、その配列は特異的で既知プロテアーゼのどのモジュールとも相同性を認めない。C14モジュールに対する抗体(抗C14抗体)を用いた免疫組織化学的解析の結果、HBCPBの発現は脳特異的で、正常脳では特定のニューロン全て(海馬の菱形ニューロンや外側膝状体ニューロン)の細胞質に均質な顆粒状に存在し特に小胞体に局在することが明かになった。一方孤発性アルツハイマー病脳ではこれを発現しないニューロンや顆粒の形状の異常なニューロンが大部分を占め、HBCPBがニューロン内で何らかの生理機能をもっていることが強く示唆された。その他疾患脳では一部の老人斑での局在、細胞外マトリックスでの沈着を認めた。
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