研究課題/領域番号 |
10557253
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
病態検査学
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
高橋 伯夫 関西医科大学, 医学部, 教授 (80094431)
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研究分担者 |
小林 幸司 セキスイ化学工業, メディカル研究所, 副主任研究員
桝田 緑 関西医科大学, 医学部, 講師 (50173753)
小宮山 豊 関西医科大学, 医学部, 講師 (40140264)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
2000年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1999年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1998年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 内因性ジギタリス / ウアバイン / 培養細胞 / 副腎髄質 / 神経系 / プロゲステロン / 構造解析 |
研究概要 |
ウアバイン様物質(ouabainlike factor=OLF)はステロイド骨格を有する可能性が大であり、副腎で合成されるとすると、その基質がプロゲステロンである可能性が高い。そこで、PC12細胞の培養上清にプロゲステロンを添加してOLIの産生(放出)量を算定すると、用量依存性にOLF濃度が上昇することを明らかにした。他方、PC12細胞をホモジナイズして、凍結・融解し、細胞内のOLF濃度を測定すると、プロゲステロン添加量とは用量依存関係はなかった。すなわち、OLFは産生されると直ちに放出される構成的(constitutive)な産生・放出様式をしていることを明らかにした。そこで、プロゲステロンを基質としてPC12細胞培養液に添加して大量に培養し、培養液中から前処理の後、5段階のカラム操作によりOLF分取し、最終的には高速液体クロマトグラフィー/質量分析装置(LC/MS)を用いてOLF分画にある物質の構造を解析した。その結果、質量数はウアバインと同一であり、そのDaughter Ionの構成(それぞれの質量数を含め)もウアバインと同一であることが明らかとなった。この成果の意味するところは大きい。すなわち、生体は植物由来のウアバインを含むジギタリス類を体内に吸収し、その濃度分布の経時的推移から、脳、下垂体、副腎、などでは積極的に取り込んでいる可能性が知られている。そのような、外因性のウアバインが何らかの刺激により血中に放出され、内因性のジギタリスと混同されている可能性が指摘されている。培養細胞系では外因性のジギタリスが混入する可能性のある唯一の場面は培養に用いる血清であるが、その濃度は数pg/mlであり、培養上清を採取する際には血清を含有しない培養液で細胞を洗浄した上で、さらに3時間培養しており、PC12細胞内濃度も高くないことから我々が同定したウアバインはPC12細胞が産生したものであることが明らかである。すでに、ウアバインが内因性ジギタリスであるとの報告はなされているが、"内因性"であることを明確に示した研究成果は、我々の今回の研究が初めてである。さらに、LC/MSでの測定感度を高めること、ウアバイン以外のジギタリスを検索する手段としての細胞内Ca濃度変動測定などの研究を続け、ほぼ基礎検討が終了した。
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