研究分担者 |
伊藤 晋彦 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 治療学部, 研究助手
渡壁 誠 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 治療学部, 研究員 (70182946)
赤滝 久美 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 治療学部, 研究員 (30280811)
中山 治己 東海テクノ(株), 技術部・部長(研究職)
鈴木 伸治 済生会, 伊豆医療福祉センター, 施設長(研究職)
SUZUKI Harunobu Izu Rehabilitation and Welfare Center for Children with Disabilities, Executive Director
|
配分額 *注記 |
10,300千円 (直接経費: 10,300千円)
2000年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1999年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
1998年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
|
研究概要 |
筋は単に力を発生するのみならず,柔軟な動きをする弾性的な機能と適度なダンピングをする粘性的な機能を併せもっている。さらに,筋肉の粘弾性機能が優れている点は,その強さつまり粘弾性係数が機械のように一定でなく,脳からの命令によって自由に変化することである。本研究では,筋の可変粘弾性特性を運動生理学の手法を用いて分析すると共に一つの制御システムとして記述し,これを手がかりに筋の粘弾性機構を模擬したアクチュエータを開発する。さらに,この機構を高齢者・障害者など低体力者の安全な筋力リハビリテーション装置として利用することを目指した。研究はまずヒトの筋粘弾性特性を運動生理学的,運動力学的観点から調査し,これをもとに粘弾性トルクを発生するアクチュエータを開発した。次いで,この装置を用いて弾性負荷に対する追跡動作実験を行い,ウエーブレット変換を用いて追跡誤差の時間-周波数解析を行った。そして,この解析結果と筋の力学モデルを手懸かりとすれば,筋の弾性定数が推定できることを明らかにした。また,運動経験と筋弾性特性との関連を分析し,本装置と数理解析法によって運動経験の差異や特徴がとらえられるかどうか検討した。その結果,手関節を巧緻的,積極的に使う卓球やバドミントンの経験者と比較的粗大な運動である重量挙げや陸上競技の経験者の間に筋弾性特性に違いが認められた。このことは本方法が高齢者・障害者など低体力者のリハビリテーション効果を評価しうることを期待させるところであった。さらに,これまでの研究成果を応用し,低体力者の安全な筋力トレーニング装置を検討した。そこでは急激な力変化が起きにくい粘性抵抗を利用した運動様式に着目し,等粘性筋力トレーニング装置なるものを考案した。その結果,この運動負荷は等張性や等速性収縮でみられる運動前後あるいは運動中の急激な力変化がなく,滑らかな運動を可能とした。また,いずれの負荷強度においても広い範囲の運動が可能であり,かつ,この全域で規定した運動を遂行できた。これらの優れた特徴は高齢者・障害者など低体力者のトレーニングやリハビリテーションにおける安全な運動負荷装置の実用化に寄与できる。
|