研究分担者 |
大隅 昇 慶應義塾大学, 統計数理研究所, 教授 (80000206)
清水 邦夫 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (60110946)
神保 雅一 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (50103049)
中園 美香 (株)数理システム, 研究員
高際 睦 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (30306849)
中田 美香 (株)数理システム, 研究員
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研究概要 |
本研究は,データとその記述の一体化の一つのルールである,DandD(Data and Description)ルールの実用化をめざして,先行研究の成果であるD&Dルールの再検討をおこない,近年のさまざまな環境の変化,とくにIT技術の進歩を反映した実装をおこなった. DandDルールでのデータの組織化は,単なる数値の並びであるデータベクトルを基本とし,それを関係形式あるいは配列形式として構成することにより,汎用性を確保することとした.また,データベクトルのみならず,関係形式や配列形式で組織化するときの属性を用いて,データのさまざまな様相を表現できるようになったことは,実用化に向けての大きな進歩であった.また,背景情報などの記述に関しても,データ取得の方法,改訂の記録,解析結果の記録など,その性格に応じた記述方式を定めることにより,処理のある程度の自動化の手がかりを与えることができるようなった.もっとも顕著な成果は実験計画と標本調査を,釣り合いとランダム化の観点から統一的に記述する方式を編み出した点である. DandDルールの実装は,いまやWebページの標準的なマークアップ言語であるXMLを用いておこなった.その結果,広く用いられているInternet ExplorerなどのブラウザがDandD用のスタイルシートを与えるだけで,DandD用のブラウザーとして用いることができるようになった.この点は実用化にとって大きな利点である. 一方,解析ソフトウエアに対してDandDインスタンスをエキスポートするサポートソフトウエアの開発もおこなった.これは,汎用性に重点を置いて,字句解析プログラムLeXと構文解析プログラムYACCを用いて開発したが,このことによってDandDルールの不備な箇所を早期に発見でき,ルールを改訂することができた.これはDandDの完成度を高める点でも重要であった.現在,開発の完了し公開しているエキスポートシステムは,データ解析言語S/Splusをターゲットとしたものであるが,他のソフトウエア,たとえば,R,XLISPSTAT,Mathematicaなど,リストを扱えるソフトウエアならば,プログラムを数ヵ所変更するだけで可能である. DandDルールと開発したサポートソフトウエアの詳細は http://www.stat.math.keio.ac.jp/DandD より入手できるようになっている.
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