配分額 *注記 |
4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
2000年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1999年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1998年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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研究概要 |
高並列計算機やネットワークの普及に伴い、分散・並行プログラムの開発の重要性が増している一方、デバッグの困難さやセキュリティなど多くの問題が残されている.それらの問題点をプログラミング言語レベルで解決するため,本研究では,分散・並行計算等に関する先進的な理論に基づくプログラミング言語を構築することを目指した.当初は実際にプログラミング言語処理系を実装することを目指していたが,研究の過程で新たな理論的課題が浮彫りとなったため,理論面の整備により大きな力を注いだ.そのため,言語処理系の構築は完成していないが,理論面では以下に挙げる大きな成果が得られた. ・並行・分散プログラムの振る舞いを解析するための型システムおよびその型推論アルゴリズムの考案 並行・分散プログラムの安全性を保証するため,デッドロックやライブロック,競合状態(レースコンディション)などの有無を静的に解析するための型システムおよびその型推論アルゴリズムの構築に成功した.さらに,Pict,CMLなど実際の並行言語への応用の第一歩として,π計算およびその拡張に対するデッドロックの解析プログラムを実際に構築した. ・分散計算の基盤となる計算モデル 言語設計の前準備として、様相線形論理に基づく分散計算モデルを定式化し、表現力の検証,および理論的性質の解明を行なった。 ・オブジェクト指向言語の先進的機構の定式化 既存の言語Javaやその拡張の中の重要な機能であるパラメトリッククラス,内包クラスの定式化を行い,これらの機能がより単純な機能だけからなる言語上で実現できることを示した.これにより、核となる分散言語上に高レベルなオブジェクト指向の機能を正しく実現する手法が確立された.
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