研究概要 |
ミリサイズ細管内での低気圧短ギャップ高密度プラズマ生成及び移動を目的として,軸方向電子損失軽減のためのミラー磁界を有する同軸型電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマ源を開発した.このミラー型ECR磁界を軸方法に繰り返し移動させることにより,メートル級の長細管内壁へのスパッタコーティングを実現した. 本研究の成果を要約すると以下のようにまとめられる. 1.プラズマの生成位置は圧力に大きく依存し,圧力が低いほどプラズマはECR共鳴点に近い位置で生成される.これを利用してマイクロ波入射位置から2m先でのプラズマ生成が実証された. 2.常に2個の隣り合ったコイルを順次励磁する走査型ミラー磁界配位とすることによって,単独のコイルの順次走査に比べてプラズマ生成とその棚方向走査が低気圧でも安定して行え,また高い成膜速度と広範囲な膜厚分布が実現された. 3.プラズマの生成位置を制御する本方法により,内直径27m,長さ2,000mmの金属管内壁に±25%の均一性でTi薄膜を形成できた. 4.本方法により金属管のみならず誘電体(ガラス)管や磁性体管内壁へのスパッタコーティングが可能であることが実証された. 今後,コイル間隔の調整ならびに励磁コイルを切替える速度を上げることによりプラズマを高速で移動させれば,成膜速度の軸方向分布がさらに均一になると考えられる.今後さらに最適条件探索の研究を進めていく予定である.
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