研究課題/領域番号 |
10558081
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
環境動態解析
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
尾張 真則 東京大学, 環境安全研究センター, 教授 (70160950)
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研究分担者 |
坂本 哲夫 東京大学, 環境安全研究センター, 助教授 (20313067)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
11,600千円 (直接経費: 11,600千円)
2000年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1999年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1998年度: 9,600千円 (直接経費: 9,600千円)
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キーワード | 二次イオン質量分析 / 飛行時間型 / 環境ホルモン物質 / マッピング / 粒別分析 / 直接分析 / 収束イオンビーム / 飛行時間型質量分析 / リフレクトロン / 微粒子 / パルスイオン銃 / 照射損傷 / 有害有機物 |
研究概要 |
天然ならびに人工材料の燃焼や、一般ならびに産業廃棄物の焼却に伴い発生するおそれのあるダイオキシン類や多環芳香族炭化水素など非常に強い発がん性や毒性を有する化合物が近年大きな社会的関心を集めるにいたっている。これらの物質が問題とされる濃度はきわめて低く、従来の分析では多量の試料から抽出、精製を行って得た濃縮液にたいする測定がなされている。しかしながらこれらの物質の多くは疎水性かつ低蒸気圧であるため、環境中では微粒子に吸着した状態で存在していると考えられ、その存在形態に関する知見が重要である。本研究は、環境微粒子に吸着した難揮発性有害有機物を、粒子単位で直接分析する方法を開発することを目指し、微小領域の高感度有機物分析が可能な飛行時間型二次イオン質量分析法を用いた分析法を検討することを目的とする。 モデル有機物として、フタル酸ジエチルヘキシル、フタル酸ジオクチル、ビスフェノールAの3種類を用いた。これらの物質を単独で銀板、自然酸化膜を有するシリコンウェーハ、グラファイト板表面に単分子層程度吸着させた試料について、得られるスペクトルの検討を行った。その結果、基板が異なってもスペクトルパターンはほぼ同じで、異なる組成の環境微粒子に吸着した場合でもスペクトルは同じであるとみなせることがわかった。フタル酸エステル類は側鎖の違いによらずm/z=149に特徴的ピークを与えることがわかり、また、側鎖の違いを見出すことは困難であることがわかった。ビスフェノールAはm/z=213に特徴的ピークを与えることがわかった。 直径6.8ミクロンのシリカ粒子にフタル酸ジエチルヘキシル、ビスフェノールAそれぞれを単独で吸着させた試料をインジウム板の上に担持し、上記の特徴的ピークを用いてスペクトルマッピングを行った結果、有機物の分布とケイ素の分布が一致し、微粒子に吸着した状態での分布を観察することが可能であることが示された。フタル酸ジエチルヘキシルとビスフェノールAそれぞれを吸着した微粒子を混合してインジウム板の上に担持した試料からは、粒子ごとにいずれの化合物が吸着しているかを区別することができた。 これらの結果から、特徴的ピークを用いれば微粒子に吸着した物質の粒子単位での直接分析が可能であることが示された。
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