研究課題/領域番号 |
10558091
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
環境影響評価(含放射線生物学)
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研究機関 | 国立環境研究所 |
研究代表者 |
石堂 正美 国立環境研究所, 地域環境研究グループ, 主任研究員 (60211728)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1999年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1998年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 環境有害因子 / 血中アポトーシス / アポトーシス制御因子 / 健康影響評価 / アポトーシス制限因子 / 血中アポトーシス シグナル |
研究概要 |
人の健康影響評価法への応用には、血中レベルでアポトーシスシグナルを同定することが第一であり、環境の異なる地域住民として、東京都杉並区住民と茨城県高萩市住民より血液を採集し、また血液中のDNAフラグメントの検出方法の確立を行った。その結果、アポトーシスシグナルの一つであるDNAフラグメントを血中で検出するには、従来の方法で検出不可能であったため、PCR法による検出方法を確立し、検出感度が100倍から1000倍改善された。しかしながら、この方法では、採血方法などによると思われるアーティファクト(人為的産物)が混入する場合もあることが明らかになり、今後に課題を残した。「DNAのフラグメント化」を「血中のアポトーシスシグナル」の指標として利用することは適切ではなく、他の指標を応用しなければならない。そのためには、環境有害因子に特有な(特異的な)アポトーシス誘導機構を解明しなければならないところに来ていると言える。こうした観点から、申請者は、生理活性物質で腎アポトーシスを誘導するTNFとカドミウムによるアポトーシス誘導機構の差異を探求してきた。その結果、両者にいくつかの差異を見出した(未発表)。第一に、TNFとは異なり、カドミウムはcaspase3非依存性DNaseを活性化すること。第二に、一般的に、細胞核内のアポトーシス現象はミトコンドリアによりコントロールされていると考えられてきているが、カドミウムはミトコンドリア以外の細胞内小器官にも作用し、アポトーシスを誘導していること。第3に、カドミウムは、TNFでは見られない細胞核内に変化をもたらしていること、などである。こうした差異が環境有害因子に固有の物であるかを徹底的に調べ、それらを血中アポトーシスシグナルとしての指標に応用し発展させることが必要であると考える。 重金属カドミウムと培養細胞を用いて、環境有害因子によるアポトーシス誘導の分子機構を詳細に調べた結果、カドミウムはアポトーシス関連遺伝子であるc-mycを暴露初期に活性化するが、アポトーシス誘導経路には関与しないことが証明され、早期健康影響評価法のための因子には成らないことが明らかになった。また、重金属や過酸化ストレスの軽減因子であるメタロチオネインもこれらのアポトーシス誘導経路には関与していないことが解明された。一般的に知られているアポトーシスの実行分子CADの活性化に関しては、暴露する組織によりCADの活性化の有無が異なっていた。カドミウムによるアポトーシス誘導は、亜鉛やある種の細胞増殖因子により抑制され、その時抗アポトーシスタンパク質であるBcl-2が活性化されることも明らかになった。
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