研究課題/領域番号 |
10558119
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
実験動物学
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
徳久 剛史 千葉大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20134364)
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研究分担者 |
岡田 誠治 千葉大学, 大学院・医学研究科, 助手 (50282455)
幡野 雅彦 千葉大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (20208523)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
12,700千円 (直接経費: 12,700千円)
1999年度: 5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
1998年度: 6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
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キーワード | BCL6 / BAZF / ノックアウトマウス / 転写抑制 / アポトーシス / 心筋細胞 / 特発性心筋性 / モデルマウス / 心筋炎 / 好酸球 / IL-5 / 転写抑制活性 |
研究概要 |
1)正常心筋細胞におけるBCL6の機能解析 BCL6遺伝子は成熟マウス各臓器においてubiquitousに発現が認められ、特に骨格筋や心筋において強い発現が見られる。このBCL6遺伝子の機能を解明する目的でノックアウト(KO)マウスを作製したところ、ほとんどが9週齢以内に心筋障害から著明な心拡張と好酸球の浸潤を伴う心筋炎を発症して死亡した。そこで、この心筋炎が浸潤する好酸球に起因するかどうかを明らかにするために、ノックアウトマウス由来の骨髄細胞を放射線照射したRag-1KOマウスに移植して心筋炎の発症を調べた。骨髄キメラマウスにおいて、正常コントロールと同様のリンパ球の分化が見られたことから、BCL6はリンパ球の初期分化には必須でないことが明らかになった。また、このキメラマウスの眼瞼結膜には高頻度に好酸球の浸潤をともなう炎症が見られたにもかかわらず、心臓の病理学的解析では細胞浸潤も見られず正常であった。これらの結果から好酸球の浸潤は心筋の細胞死による二次的な反応と考えられた。実際に、好酸球の浸潤を伴わない時期のノックアウトマウス由来の心筋を電子顕微鏡で解析したところ、すでにミトコンドリアの変性などの心筋障害の所見が見られたことから、心筋細胞の機能維持におけるBCL6の役割が示唆された。これらの結果から、BCL6は心筋が様々のストレスに対応して生存するのに必須であると考えられた。 2)心筋細胞で強発現しているBCL6ファミリー遺伝子BAZFの単離とその機能解析 BCL6を欠損しても9週齢まで心筋細胞に異常のみられないマウスもいることから、心筋細胞においてBCL6と同様の機能をもつ関連遺伝子の存在が示唆された。そこで、BCL6のZink finger部をプローブとして用いて心筋のcDNAライブラリーからBCL6ファミリーに属するBAZFを単離した。BAZFは、心臓と肺に限局して強い発現が見られた。また、そのタンパク構造をBCL6と比較すると、Zink finger部で94%、POZ部では45%相同であった。さらに、BCL6と同じDNA構造に結合し、さらにBCL6とPOZ部で相互に結合し、BCL6と同様にPOZ部や中央部のタンパク断片において転写抑制活性がみられた。また個体発生時からの心臓における両者の発現解析では、BAZFの発現のほうがBCL6の発現よりも一週間程度早くかつその量も多かったことから、心臓においてはBAZFのほうがより大きな役割をしていることが示唆された。現在BAZF-KOマウスを作製中であり、このふたつの遺伝子を欠損させたときの心筋細胞の病理を解析しようとしている。
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