配分額 *注記 |
8,400千円 (直接経費: 8,400千円)
2000年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1999年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
1998年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
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研究概要 |
(1)形態知覚、認知の研究における標準化された刺激セットの欠如を解消するために,心理学研究における有用性,外界の物体との特徴の共有,幾何学的特性の分析の可能性などを考慮して無意味輪郭図形を対象として心理量を含んだデータベースを作成した.100個の無意味輪郭図形を作成,選定し,これらに対する分類課題による類似性空間の抽出,各図形に対する複雑性,対称性などの判断課題を実施した.また,無意味図形に対する既存物体の連想性の調査を実施した.類似性,複雑性,対称性などの心理量と,フーリエ記述子や円形度などの幾何学量との関連性を分析した結果,円形度と複雑性の関連性,フーリエ記述子に基づく類似性空間と心理的類似性空間の間の対応が確認された.連想性データについては,連想の多様性も測定しうるKL情報量に基づく連想拡散価という指標を考案し,連想拡散価の有効性が示された. (2)無意味図形の知覚や記憶の心理特性を実験的に検討する研究を行った.(a)無意味図形に対する選択的注意課題における,遮蔽物によって分断された図形への注意効果が従来の主張とは異なり,図形の対称性の効果によってほぼ説明できることを示した.(b)無意味輪郭図形を用いて視覚的短期記憶の時空間的な特性を調べた.凹凸数により図形の複雑さを操作して,図形の詳細な形状の保持が必要な再認課題を行った結果,凸部が多くなるほど再認成績が低下することが明らかとなった.実験結果の詳細な分析結果は,凹凸図形においては,凹部で図形が分節化され,各凸部が特徴として知覚記憶されることを示唆する.(c)無意味図形の照合課題における負のプライミングの生起メカニズムを検討するためにターゲットの選択容易性を3次元の奥行きによって操作した結果,負のプライミングの生起を規定するのが標的-妨害刺激間の干渉ではなく,見本-妨害刺激間の干渉であることを示した.
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