研究課題/領域番号 |
10559024
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
広領域
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研究機関 | 奈良県立橿原考古学研究所 |
研究代表者 |
樋口 隆康 奈良県立橿原考古学研究所, 奈良県立橿原考古学研究所, 所長 (30025035)
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研究分担者 |
今津 節生 奈良県立橿原考古学研究所, 資料室・保存科学研究室, 総括研究員 (50250379)
河上 邦彦 奈良県立橿原考古学研究所, 部長 (80271584)
宮原 晋一 奈良県立橿原考古学研究所, 調査第2課第2研究室, 室長 (90250373)
沢田 正昭 奈良国立文化財研究所, 部長 (20000490)
福原 幸一 広島大学, 理学部・化学科, 助手 (90208976)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
13,100千円 (直接経費: 13,100千円)
2000年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1999年度: 5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
1998年度: 6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
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キーワード | 水浸出土木材 / 糖アルコール含浸法 / ラクチトール / トレハロース / 文化財保存 / 保存 / 処理水浸出土木材 / 糖アルコール / 有機質遺物 / 保存処理 / 糖類 |
研究概要 |
水浸出土木材を保存し、展示するためには、木材細胞に侵入した過度の水分を取り除いて、破壊された木材組織を強化することが必要である。近年、ヨーロッパでは近年、ヨーロッパではPEG(ポリエチレングリコール)にかわって、木材の構成要素でもある糖類(特にスクロースSucrose=蔗糖)を含浸させる方法が実用化されている。しかしながら、高温多湿の気象条件や生物劣化の危険性を考慮すると、蔗糖の使用は日本の環境にはそぐわない。たとえば、高温多湿の環境では、蔗糖の溶液が発酵するかもしれないし、高湿度の環境では、蔗糖の結晶が溶け出すかもしれない。さらに、溶解した蔗糖はアリのような昆虫類によって攻撃される危険性がある。そこで、種々の糖アルコール(工業的に生産された糖類)の特徴を考慮した上で、水分に対する低い吸湿性や水に対する高い溶解度、微生物に対する安定性などの特徴を有する糖の中から、比較的安価なラクチトールとトレハロースを使うことにした。 1994年にこの方法を開発して以来、糖アルコールの一種であるラクチトールを使い、水浸出土木材の常温含浸と加熱含浸による保存処理を実用化してきた。現在までに、30を越える日本国内の組織をはじめ、ハンガリー、メキシコとポーランドでラクチトールを使って水浸出土木材の保存を実施している。 最近、私達はラクチトール+トレハロース(trehalose)10%の混合溶液を使うことによって、従来のラクチトール含浸法(ラクチトールを単独で使用する方法)に関する改良を行っている。 トレハロースをラクチトールの含浸溶液に混合することによって、含浸溶液の濃度を高める効果があり、さらに、ラクチトール三水和物(trihydrate)の生成による体積膨張を防ぐ効果がある。 このような改良の結果、含浸溶液の濃度を高めることが可能となり、劣化した脆弱な木材に対しても適用できるようになった。さらに、加熱乾燥の必要がなくなり、簡単で経済的な自然乾燥が可能になった。
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