研究課題/領域番号 |
10610010
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
哲学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
新島 龍美 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 助教授 (50172606)
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研究分担者 |
神崎 繁 東京都立大学, 人文学部, 助教授 (20153025)
納富 信留 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 助教授 (50294848)
菅 豊彦 (菅 富彦) 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 教授 (50091385)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2000年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1999年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1998年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 賢慮(プロネーシス) / アレテー(徳) / 知覚的能力 / 実践的推論 / 道徳的実在論 / 認知主義 / 投影主義 / アクラシア(無抑制) / 倫理的価値 / 現れ / 共通感覚 / 非認知主義 / 実践理性 / 賢慮 / 情念 / 実言的要請 / 道徳的感性論 / プロジェクショニズム / 徳の習得 / テクネー・アナロジー / アレテー / 実在論 / 内在主義 / 自然 / ディアレクティケー |
研究概要 |
本研究は、近代自然科学の影響の下に近世哲学の中で生じた存在と価値の間の架橋不可能な隔絶を前提した20世紀中葉までの実践哲学の主潮流-価値の反実在論-の批判に向け、そうした前提を突き崩し価値経験の真実の解明の為の貴重な手掛かりを与えるものとして、古代ギリシア哲学における価値とわれわれの生におけるその位置づけについての思索の解明をめざしたものである。 このような目的を達成するために、次のような研究を遂行した。 新島龍美は、アリストテレス的実践理性の可能性を模索し、事実と価値を峻別する二元論的な行為理解の持つ問題点を摘出し、また、アリストテレスにおけるモラル・リアリズムの可能性の要となる賢慮(プロネーシス)が、推論能力の卓越性であると同時に、状況を或る特有の仕方で見て取る人の魂が持つ一種の知覚的能力であることの哲学的意義を、アクラシアの解明を通して考察した。 菅豊彦は、道徳的実在論をめぐる現代英米の論争、特に、J・マクダゥエル、D・ウィギンズ等の「道徳的感受性論」と、S・ブラックバーン等の「投影主義」の議論を比較・検討し、後者の非認知主義に対する批判を通して、認知主義、実在論の可能性を探った。また、ウィギンズのD・ヒューム研究を手がかりにして、ヒューム道徳哲学の新たな可能性とその哲学的意味の解明を試みた。 納富信留は、アリストテレス道徳哲学の解明の準備作業として、プラトン「国家」篇において、「問答法」が、情操教育によって得られる徳概念の反省的吟味のモデルとして働くことを論じた。更に、倫理的な価値が後世「共通感覚(コモン・センス)」とよばれる一種の総合的感覚において捉えられる可能性を検討した。 神崎繁は、プロネーシスの概念とそれによる道徳的実在論の可能性を、広く古代哲学の視点から検討するとともに、現代のカント的な義務倫理学との対比に於いて考察した。
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