研究課題/領域番号 |
10610033
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
倫理学
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
豊澤 一 山口大学, 人文学部, 助教授 (10155591)
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研究分担者 |
木村 武史 山口大学, 人文学部, 講師 (00294611)
柏木 寧子 山口大学, 人文学部, 講師 (00263624)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2000年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1999年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1998年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 最澄 / 真俗一貫 / 聖なる山 / 空海 / 本地垂迹 / 救済力 / 正直 / 浄と穢 / 聖と俗 / 高野山 / 中世神道 / 籠山修行 / 聖地 / 景観 / 聖なる心 / 熊野 / 異界 / 穢れ |
研究概要 |
豊澤報告は、中世の「正直」観を検討した。その結果、明らかになったのは、人が正直であろうとすることは、自らの内面の不可避の不浄を見据えながら、それを超えて浄穢一体の境地に出ようとする至難の営みであったことである。したがって、そこには、自己懐疑、厳しい自己批評、不断の自己超越があらざるを得ないことを論じた。 柏木報告は、中世物語の一類型である本地物をとりあげ、主としていくつかの説経節作品を手がかりに、聖なる救済者像の一端を探った。すなわち、神や仏・菩薩の前生を語る本地物において、受苦や滅亡といった過去の無常の経験と、現在の救済力との間に想定される関係について、物語中の人物や物語の構造、また、物語外の語り手・聴き手に即しつつ、明らかにしようと試みた。 木村報告は、聖なる山としての高野山の重層性を明らかにしようと試みた。聖なる山としての高野山の聖性は歴史的経緯とともに累積的に形成された。空海以前の時代からの死者の山、山岳修行地としての山、胎蔵及び金剛界両部曼荼羅塔建立地としての山、空海の入定留身の地としての山、密厳浄土としての山、曼荼羅八葉峯としての山などが聖なる山としての高野山の重層性を構成していることを論じた。 研究協力者である上原の報告は、最澄が規定した、「真俗一貫」の菩薩戒を山中で受戒させ、籠山して修行させる制度を考察した。この真俗一貫は上位の仏菩薩の境地であり、真俗分離の籠山修行はその境地を獲得するための手段であった。最澄は、前世において霊鷲山で受戒し真俗分離の修行を経て、真俗一貫の境地を獲得した上位菩薩として、聖徳太子を想定していた。そして、一回的な聖徳太子的ありようをなぞり、それを回復するために、受戒・修行様式を制度化したのである。
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