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宇宙論的芸術論

研究課題

研究課題/領域番号 10610042
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 美学(含芸術諸学)
研究機関北海道大学

研究代表者

北村 清彦  北海道大学, 文学部, 助教授 (70177864)

研究期間 (年度) 1998 – 1999
研究課題ステータス 完了 (1999年度)
配分額 *注記
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
1999年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1998年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
キーワード宇宙 / 芸術作品 / 非対称性 / らせん構造 / ロジェ-カイヨウ / ドゥルーズ=ガタリ / マルャル・デュシャン / 村上春樹 / ロジェ・カイヨワ / ドゥルーズ・ガタリ / マルセル・デュシャン / 非対称
研究概要

芸術というミクロ・コスモスが神や宇宙に代表される一定の秩序と調和を保ったマクロ・コスモスの縮図であることは、とりわけヨーロッパの芸術観にとって基本的なことであった。だが両者の照応関係の根拠は一体どこにあるのだろうか。本研究はビッグ・バーン宇宙論以後の宇宙物理学や量子力学、分子生物学等によって明らかにされつつある宇宙の生成メカニズム、構造と芸術作品のそれとが、文字通り相同的であることを非平衡性と非対称性のうちに見出したのである。すなわち、力の相転移に伴う宇宙創生期の急激な膨張は「エントロピー増大」の法則には従わない宇宙のエネルギー状態を明らかにした。また相転移は宇宙に根元的な非対称性をもたらしたが、その宇宙の構成物質が例外なく非対称的であることは分子構造の点からも確認することができたのである。更に哲学の領域においても、ロジェ・カイヨワは鉱物から動植物さらに生命現象に至るまで、活性力をもった物質にとって、非対称性の最たるものである「らせん構造」が本質的であることを観察し、またドゥルーズ=ガタリはそのような物質の生成変化を「欲望」と呼び、それが「らせん運動」の強度を持っていると言及しているのである。問題はこのような非対称性や非平衡性が芸術においても実現しているかどうかであるが、マルセル・デュシャンの《大ガラス》の分析によって、とりわけ「独身者たち」の欲望の生成と噴出の表現のうちに、「らせん構造」が明確に確認され、あるいは村上春樹の『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の「世界の終り」というエントロピー最大値の状態から「ハードボイルド・ワンダーランド」のエネルギー量が回復された世界への回帰は芸術作品の非平衡性を示すものとしても考えられるのである。芸術作品の事例研究としてはまだ不足ぎみではあるが、少なくとも宇宙と芸術との間に共通接線を引くことの基盤は整えられたのである。

報告書

(3件)
  • 1999 実績報告書   研究成果報告書概要
  • 1998 実績報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] 北村清彦: "繰り返される自己の物語-ポール・リクールの自己論-"北海道大学文学部紀要. 47-1. 1-27 (1998)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1999 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 北村清彦(共著): "芸術学を学ぶ人のために"世界思想社. 336 (1999)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1999 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Kiyohiko KITAMURA: "The Narrative of the self which repeats itself ?The theory of the self according to the philosophy of Paul Ricoeur"The annual report on cultural science. 47-1. 1-27 (1998)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1999 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Kiyohiko KITAMURA: "Structuralism ・ Post-Structuralism"For those who would like to study the science of art. 260-290 (1999)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1999 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 北村清彦(共著): "芸術学を学ぶ人のために"世界思想社. 336 (1999)

    • 関連する報告書
      1999 実績報告書
  • [文献書誌] 北村 清彦: "繰り返される自己の物語-ポール・リクールの自己論-" 北海道大学文学部紀要. 47-1. 1-27 (1998)

    • 関連する報告書
      1998 実績報告書
  • [文献書誌] 北村 清彦(共著): "芸術学を学ぶ人のために" 世界思想社, 336 (1999)

    • 関連する報告書
      1998 実績報告書

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公開日: 1998-04-01   更新日: 2016-04-21  

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