研究概要 |
本研究は,平成5年度から8年度まで沖縄県教育委員会から調査嘱託委員として調査した織物品378点,染物品139点のデータベースの構築を行うことであった。平成10年度・11年度,その情報の入力作業をしていく内に,服装の採寸調査項目の不備,繊維鑑定の見解の相違などがわかった。正確なデータを入力するためにも再検討・再調査を加えた。そして12年度は,繊維の顕微鏡写真の収集に力をいれた。その結果,琉球服装の調査項目を改善し,両身頃を調査した結果,大袖衣について物差を使わない「手度法」であることを確認できた。また,胴衣の袖と脇あきに特色があることがわかった。沖縄県各地の織物組合の素材以外にも,各島々に芭蕉・苧麻・木綿の染織品があることがわかった。その織物技術は,織密度や意匠が優れたものであり,またその多様性は広く今後,公開していきたい。歴代宝案や混効験集に見られる緞・細嫩蕉布・蜻蛉羽衣等,どのような染織布であるか,断定はできないが,資料の収集と拡大写真のデータが得られた。研究対象が神衣装であり,教育委員会や個人の協力により,さらに各島々に残る染織資料を調査研究していきたい。
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