研究概要 |
文系学部4年の大学生を対象に,卒業をはさんで2度の調査を実施することによって,転職意識・キャリア形成意識・個人志向性・社会志向性・性役割態度における回答者の時系列的な変化を追跡し,キャリア選択行動との関係を明らかにすることを目的とする. 第1回調査:(1)郵送調査法(2)調査期間:1999年12月〜2000年2月(3)調査対象者:国立T大学経済学部・法学部・文学部4年に在籍中の学生883名(4)有効回収率:54.7%(483名)(5)回答者の性別構成:男性:71.2%(344名),女性:28.8%(139名) 第2回調査:(1)郵送調査法(2)調査期間:2001年11月〜2002年1月(2)調査対象者:第1回調査回答者483名(4)有効回答者数:173名(5)回答者の性別構成:男性:63.6%(110名),女性:36.4%(63名) 因子分析,重回帰分析などを含む分析結果から以下の点が明らかになった.(1)個人志向性,社会志向性(性差・学部差・時系列的変化なし)(2)転職意識(性差・学部差なし):終身雇用より転職を支持する率が非常に高い(3)性役割態度における平等志向性(学部差なし):女性のほうが有意に高い(4)キャリア形成意識(性差・学部差なし):自分の能力を生かせてやりがいのある好きな仕事を望み,人柄や忠誠心より能力に対する評価を求め,仕事より個人生活を重視する傾向がある(5)キャリア形成意識を構成する3因子(性差・学部差なし):能力重視,自己実現重視,個人生活重視.2年の間に因子構成の変化はなかったが,能力を重視する意識が有意に高まった(6)キャリア形成意識において2年間に有意な変化のあった主な変数:終身雇用より転職意識年.功序列より能力給,雇用保証より職種の自由な選択,意見調査による決定より自己決定.これらは卒業前より重視されるようになった.
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