研究課題/領域番号 |
10610130
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
教育・社会系心理学
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
神園 幸郎 琉球大学, 教育学部, 教授 (70149334)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2001年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2000年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1999年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1998年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 自閉症 / 愛着 / コミュニケーション / 情動 / 対人関係 / 鏡像反応 / 鏡像 / 自閉症児 / 他者認識 / 鏡映像 / 模倣 / 自己表現 / 発達 / 自己認知 / 他者認知 |
研究概要 |
本研究は自閉症児のコミュニケーションの特徴を対人関係の形成過程に基づいて発達的に検討し、彼らのコミュニケーション障害を改善する方法として鏡の利用の可能性を展望した。その結果、次のようなことが明らかになった。すなわち、(1)自閉症児のコミュニケーションは、相手となる特定の他者との関係性によって、その質的様相が決定され、しかも特定の他者との二者関係で形成されたコミュニケーション・スキルはその関係だけに閉じており、それ以外の他者との関係に波及しなかった。(2)この自閉症児における関係特殊的な対人関係は、基本的には親もしくは特定の他者との関係で得られる快の情動の共有体験を契機として生起した。さらに、(3)一旦形成された関係性は排他的な特性を帯び、それまでに保持されてきた親もしくは特定の他者との関係は逆に減退もしくは消失した。こうした自閉症児に特有な対人関係の形成過程が、彼らの愛着形成の過程でよく観察される対人関係の逆転現象をもたらした。以上の結果より、自閉症児における関係特殊的なコミュニケーションの特性は、彼らの特異な対人関係の形成過程を反映していることが解明された。この知見を受けて、自閉症児と養育者との愛着関係の質的な変遷と彼らが示す鏡像反応の特徴の関連を分析した。その結果、(4)自閉症児が親の情動状態を感知でき、なおかつ自己の情動についても意識化できるようになると、親子の相互作用が急速に増加した。丁度、この時期と重なるように自閉症児の鏡像反応も急増した。しかも、この時期に出現する鏡像反応は、自ら意図して再現した喜怒哀楽の表情への注目であった。これらの結果から、自閉症児の鏡像反応が、自己および他者の内的状態の覚知を基盤とする親子の関係性を如実に反映することが明らかになった。自閉症児の鏡像反応は、自他の理解およびそれに基づく社会性の様相を把握する上で有効荏手段となる可能性がある。
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