研究課題/領域番号 |
10610156
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
社会学(含社会福祉関係)
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研究機関 | 慶應義塾大学 (2000) 北海道大学 (1998-1999) |
研究代表者 |
鹿又 伸夫 慶應義塾大学, 文学部, 助教授 (30204598)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2000年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1999年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1998年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 裁判官 / 経歴移動 / 昇進格差 / 質的比較分析 / 経歴データ / 裁判官経歴 / 官僚制 / トーナメント型移動 |
研究概要 |
裁判官が過去にだした判決、そして過去の経歴が、当該裁判官のその後の昇進にどのような関連をもつのかを検討した。昇進は地裁所長および高裁総括判事への昇進と規定し、労働事件に関与した裁判官の経歴データを対象に、質的比較分析をおこなうブール代数アプローチによって分析した。その結果、次のような知見をえた。 第1に、地裁総括判事と高裁判事の双方を経験することが、地裁所長か高裁総括判事に昇進するための必要条件になっていた。任官5〜7期で一部に事例はあるが、これら双方の経歴をもつことが必要条件であった。これは、裁判官の序列が階段型階層になっており、官僚制組織に典型的なパターンであることをしめしていた。第2に、最高裁や法務省への出向経歴は、昇進を確実にする、あるいはその昇進を早める条件となっていた。昇進格差の生じる経歴段階において、これらの出向経験は、その後の昇進に有利に作用していた。他方で、支部勤務の経験はそうした昇進を促進する条件になっていなかった。第3に、行政や公的企業体に有利な判決だけに関与することは、昇進を早める条件であった。昇進格差があらわれはじめる段階では、行政や公的企業体に有利な判決だけをだしていたことが、早期昇進を促進するような結果となっていた。 最高裁や法務省への出向経験がその後の昇進の促進条件であること、行政や公的企業体に有利な判決だけをだすことが早期昇進を促進条件になっていたことは、裁判官が最高裁の中央集権的な人事評価のもとにおかれ、最高裁あるいは行政の立場を擁護する思考様式と態度をもたらしているという指摘を否定できないことを示していた。
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