研究概要 |
社会福祉サービスにおける地域格差に関して、公平を促進する要因と公平を阻害する要因を同時に考慮した分析として、本研究では、自治体財政の機能をめぐり、自治体の都市化度によって表される生活ニーズの水準と、自治体財務の悪化度によって表される供給面の制約を指標化して分析した。都市の社会福祉財政における一般財源の分布にみられる共通性、ないし法則性を探究してきた結果,一応妥当とみられるモデルを得ることができた。それは,比較的単純な線形一次式で表されるものである。(1)として、国の補助金の分布それ自体を基準とすると、自治体による一般財源投入後の分散はより平準化していた。これにより、自治体側では格差を縮小する働きをもつ政策活動が行われていると想定できた。(2)その場合、都市化度の進展している自治体において財源投入による平準化効果は正となり、(3)財務の悪化した自治体の平準化効果は負であることが分析により明らかになった。全国の都市の個別の財政活動が,こうした単純な形に表現されたが、特に,都市化度が正の効果を及ぼす反面,財政悪化度が都市の財政の一部でしかない民生費関連一般財源に直接負の効果を持っていることは,いろいろのインプリーケーションを持つであろう。
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