研究概要 |
東京都下の1市に在住の65歳以上の高齢者全数23,597人から無作為に抽出した7,800人を対象に, 要介護高齢者のスクリーニング調査を実施し, 558人の要介護高齢者の抽出を行った。それらの要介護高齢者の主たる介護者を対象に訪問面接調査を行い, 406人の調査を完了した。スクリーニングの尺度は, 高齢者の日常生活動作においての自立度および認知機能障害をたずねたものである。即ち, 今回得られたサンプルは, 地域における代表性のある要介護老人のサンプルといえる。 保健福祉サービスの認知・利用の実態を探るために, 代表的なサービスである, ホームヘルプサービス, ディサービス, ショートステイサービス, 訪問看護サービスについて, その認知の状況, 利用の実態, 利用意向をたずね, それらに関連している諸要因の探索を行った。 保健福祉サービスの認知度を高めている要因は, 要介護高齢者の年齢が高い, 身体の障害が重度, 精神の障害が重度, ひとりぐらしか夫婦のみの世帯, 主介護者が女性, 年齢が低い, 娘か息子の妻, 学歴が高卒以上, 主介護者の健康状態が普通か悪い, くらしむきが普通か余裕がある, 主介護者が仕事をしていない, 副介護者がいないことであった。 保健福祉サービスの利用に結びついている要因は, 要介護高齢者が男性, 身体の障害が重度, 精神の障害が重度, 主介護者が50歳代, 娘か息子, 学歴が高卒以上, 介護期間が長期, 毎日かかりきりの介護をしている, 主介護者の健康状態が悪い, 副介護者がいないことであった。 保健福祉サービスの利用意向を高めている要因は, 要介護高齢者の年齢が高い, 身体の障害が重度, 精神の障害が重度, 主介護者が女性, 年齢が高い, 配偶者でない, 学歴が高卒以上, 介護期間が3年から10年, 毎日かかりきりの介護をしている, 主介護者が仕事をしていることであった。
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