研究課題/領域番号 |
10610231
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
教育学
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
清水 寛 埼玉大学, 教育学部, 教授 (70008712)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2000年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1999年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1998年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | ハンセン病療養所 / 癩(らい)療養所 / ハンセン病児童・生徒 / 癩患児 / 「未感染児」 / 「未感染児」保育所 / 植民地衛生政策 / 植民地朝鮮・台湾 / ハンセン病児・「未感染児」問題 / 生活・教育・人権の歴史と教訓 / 日本および旧植民地朝鮮・台湾 / 生活・教育・人権の歴史 / 日本および旧植民地 |
研究概要 |
1996年、「らい予防法」(1953年制定。それにつながる最初の法律は1909年の法律第11号「癩予防ニ関スル法律」)は廃止された。しかし、これらの法律に基づき、90年余にわたって続けられた強制隔離政策によって奪われた人権が回復されるわけではなく、とりわけ"子ども期"に受けた心的傷害はいまなお癒し難いものがある。療養所という名の強制収容所に入れられた患者たちは、貧困な医療、苛酷な強制労働、非人道的な「懲戒検束権」の行使、断種堕胎の強制など深刻な人権蹂躙と人間としての抑圧を受けた。退所しても社会の偏見・差別によって孤独や貧困に苦しみながら生活せざるを得ず、その家族も患者(児)との別離、偏見による縁談の破談など言い知れぬ悲劇・苦悩に襲われてきた。 ハンセン病は子ども・青年期に発病することが多く、罹患すると、親・家族、友人などと引き離されて、強制入所させられ、学校・地域社会・職場などからも排除された。また、親が発病した場合、その子どもは「未感染児」(いずれは感染・発病するおそれがあるという臆見に基づく用語)と呼ばれ、親が入所しなければならなくなったとき、親族などによる養育が困難であると,同じ療養所に入れられ、しかも所内での親との触れ合いは厳しく制限された。所内には教育法規に基づかない学園が患児などを対象に設置されていたが、教師は患者であり、教育内容・条件も極めて貧しかった。戦後も、入所児への義務教育の制度的保障は遅れた。植民地朝鮮・台湾の各総督府立の「癩療養所」は植民地本国以上に「皇室の御仁慈」が強調され、劣悪な状況に置かれ、人権侵害もより多く受けた。 以上の諸点を国内および韓国、台湾の各療養所を訪問し、入所者からの聞き取りや資料収集などを行ないながら究明し、日本特殊教育学会の大会で3年間にわたって発表してきた。さらに総合的に研究し、旧植民地・占領地を含め『日本ハンセン病児問題史』(仮題)としてまとめていく予定である。
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