研究課題/領域番号 |
10610236
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
教育学
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
上野 浩道 お茶の水女子大学, 文教育学部, 教授 (20017148)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1999年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1998年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 意識的イメージ / 無意識的イメージ / イメージの質 / イメージの生成 / 美術教育 / イマジネーション / コミュニオン |
研究概要 |
美術教育を対象に無意識的イメージと意識的イメージの問題を検討する時、前者はフロイトを中心にした精神分析学の影響、後者はピアジェを中心にした認知心理学の影響が大きい。前者は、H.リードの捉え方が典型的であり、今回、ヴィクトリア大学所蔵のリードの草稿をもとに、彼のフロイト理解からユング理解への移行プロセスを分析して、無意識に対する彼の把握視点の移行、感覚器官の位置づけ、意識と無意識の境界領域と無意識的イメージの問題などを明らかにすることができた。後者は、N.スミス教授の捉え方が典型的であり、イメージとシンボルの形成・発達過程を1歳から11歳までの子どもの絵を通して分析している。今回の当初の計画では授業分析を中心にこの問題を検討する予定であったが、学部長就任や大学異動のため十分には行えなかった。しかし、現場教師との研究会である程度のデータは集まっている。スミス教授の研究の特徴は、子どもの経験をもとに教師や大人との対話関係を重視した構成主義の立場に立って、イメージは他者や環境によって意識化されていくとみるところにある。その時、2歳から5歳ごろまで見られる「相貌的知覚」とイメージの問題の解釈が検討課題として残されている。これは意識化できないイメージの質の問題である。従来の研究方法では、同じ段階のイメージに対してもその捉え方の違いによって呼び名も概念規定も異なってきた。「相貌的」という意識と無意識の未分化の状態は意識レベルに現れる集合的無意識の原始的イメージに対応するという仮説の設定が今回の研究成果の一つとして挙げられる。イメージと創造性の問題に関しては、美術作品を媒介にする場合、イメージの交流を通しての単なるコミュニケーションだけでなく感動をともなった霊的・スピリチュアルな交わり(コミュニオン)というべき深い交わりの可能性のあることを学会で報告した。
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