研究課題/領域番号 |
10610249
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
教育学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
杉本 均 京都大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (50211983)
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研究分担者 |
田中 耕治 京都大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (10135494)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1999年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1998年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | アジア / 比較教育 / 後発効果 / 価値教育 / 先進国 / ブルネイ / ブータン / 中華人民共和国 / シンガポール |
研究概要 |
本研究はアジア諸国の国家としての近代化や世界経済市場への参入の遅れによる、いわゆる「後発効果」が、その国の教育制度の発展パターンやプロセス、そしてカリキュラム形成にどのような影響を与えるのかについて、主としてブルネイ、ブータン、シンガポール、中華人民共和国などを取り上げて比較研究を行ったものである。これらの国々の教育は、先進国への経済的接近を目指すそれぞれの政府が掲げる国家発展政策や展望計画によって急速な変貌を遂げようとしている。本研究は道徳教育、市民性教育、宗教教育、思想教育などを含む総称である価値教育(values education)に焦点を当て、その導入パターンが国内のマイノリティの様々な価値や文化の受容レベルとの関係を検討した。本科研により中国(1998、10月)とブルネイ(1999、7月)の2カ国に現地調査を行い、あわせて研究者の参加している他の研究プロジェクトによるブータン王国とシンガポール共和国への調査からも価値教育に関する情報を得た。 本研究によりブルネイ、ブータン、中国の学校のカリキュラムに見られるある共通の価値教育導入パターンがあることが見いだされた。これらの諸国の価値教育は、宗教的もしくは思想的価値、王権もしくは支配政党への誘導、文化的・民族的価値をすべて単一の教科として導入していた。これは国家の後発効果の影響の一部によるものと理解される。新たに発展と近代化を開始した国々は、国家の政治的経済的凝集のために強力な求心的国家シンボルを必要としており、その教育は価値教育の中核を形成している。このシンボルは必然的にその信奉する宗教/思想や属する民族/政党の伝統の教育を要求するために、それらの国々のカリキュラムはオールインワン型の価値教育を導入する傾向がある。
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