研究概要 |
<学会の制度化>人文社会科学の主要学会約500について、その創設年と沿革を調査し、分野別に創設年一覧を図示した。また、主要大学における戦前戦後の学部学科の創設、講座の創設の時期を調査し、学会の制度化との関連を考察した。学会はもともと東京大学の研究室内の研究会から生まれたものが多く、後続の大学もそれに倣って学内研究会をつくった。全国的な学会に制度化されるのは、大学令以後の大学拡張期、特に戦後の旧7帝大の総合大学としての整備開始によってである。我が国の学会の本格的展開は戦後になってからであるといえる。 <学会の活動と機能> 人文社会系学会の規模は平均約700人と小規模であるが、分布形状は非常に偏っており対数正規分布に従っている。年間の集会数は平均5,雑誌刊行回数は2.2、雑誌ページ数は258頁である。会員数規模と雑誌ページ数はいくぶん直線的な関係にある。1999年夏に、主要学会19の会員1800人を対象とした「人文社会科学関係の学会活動に関する研究者調査」を実施し、476人から回答を得た。その結果、学会は、「情報交換のメディア」、「研修や社会化の期間」、「評価やゲートキーパー」の機関として機能していることが明らかになった。しかし、専門家の実務のにはそれほど役立たず、国や地方公共団体等の政策に対する影響や貢献は小さく、専門家の利益向上には役立っていないことが明らかになった。
|