研究課題/領域番号 |
10610318
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
日本史
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤田 覚 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (20092322)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2000年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1999年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | 日露紛争 / 蝦夷地 / エトロフ / 開国論 / 鎖国祖法観 / 情報 / クナシリ / 風聞 / 長崎奉行 / 秋田藩 |
研究概要 |
各地の史料所蔵機関を調査した結果、文化年間の日露紛争に関する史料は膨大に存在することが明らかになった。この点が、本研究の成果としてあげることができる。史料調査により蒐集した史料を使ってつぎの4点について具体的に検討し、おのおの以下のような成果をえることができた。 第一に、文化3年から4年のロシア軍艦によるカラフト島・エトロフ島や幕府・松前藩の船への襲撃事件を検討し、その情報の伝播と幕府の対応策を具体的に明らかにすることにより、19世紀初頭において、情報と具体的な政治過程のあいだに密接な関係が存在することを明らかにした。第二に、この事件の解決策についてのさまざまな意見を集めることにより、ロシアに貿易を認めることにより解決すべきだという、限定的な「開国論」が広範に存在したことを提示できた。第三に、この事件への幕府の対応策を検討することにより、18世紀末のラクスマン来日以来、明確に打ち出されてきた鎖国を祖法とする法や観念の確立過程にとって画期となったことを解明した。第四に、ロシアとの紛争が発生した蝦夷地に対する江戸幕府の政策に関して、寛政改革期の松前委任策と北国郡代設置構想を検討することにより、蝦夷地支配をめぐる対立と寛政改革の性格の一面を明らかにできた。 具体的な検討が文化3、4年の事件のみで終わってしまい、ゴローニン事件や幕府の蝦夷地支配政策の進展との関係で把握するという点、および近世後期の対外関係全体の中に位置づけるという作業が十分におこなわれておらず、今後の大きな課題として残すことになってしまった。
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