研究課題/領域番号 |
10610428
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
国文学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
池上 洵一 神戸大学, 文学部, 教授 (20039960)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1999年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1998年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 三国伝記 / 寺社縁起 / 修験 / 近江 / 伝承 / 中世 / 水神 / 善勝寺 / 修験道 / 中世近江 / 説話伝承 / 中世天台 / 水神信仰 |
研究概要 |
本研究が解明した事実の概要は次の通りである。 1.「三国伝記」は滋賀県能登川町佐野の善勝寺に有縁の場所で成立した。撰者は玄棟である。玄棟は京都元応寺の運海と師弟の間柄であったらしい。運海は近江湖東地域にも来住しており、その生活圏は玄棟のそれと隣接していた。運海が止住したのは霊山寺と阿弥陀寺であり、前者は彦根市の荒神山、後者は近江八幡市の奥島山にあった天台宗の寺院である。但し、両寺とも信長の兵火に罹り廃絶したらしい。 2.「三国伝記」の寺社縁起には修験の影響が濃厚に認められる。室町期の湖東地方においては、村落共同体による各種の農耕儀礼にも修験の徒が深く関与しており、寺社縁起もまた彼等の管理するところであったと思われる。地域に密着して成立した「三国伝記」の寺社縁起は、きわめてローカルな特色を示すと同時に、当時の村落の精神史的な状況をよく物語っている。これは文学研究・史学研究ともに見落としてきた事実であり、本研究は新たな視野を切り開くものである。 3.「三国伝記」の寺社縁起は、近世地誌類が記録した説話伝承とも密接な関係をもつ。近世の地誌の説話伝承をを総点検するべく、基礎資料としてまず一覧表を作成した。 4.農耕儀礼と関連して、修験と水神信仰との関わりについては、全国規模の比較研究が必要である。本研究ではまず十和田湖の水神伝説について、その基本構造を明らかにした。出羽三山・戸隠・飛騨・白山方面の水神信仰の現状についても多くの知見を得たが、これについてはなお調査と研究を持続する必要がある。
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